う。
喉が渇いた。
吐き気はなく二日酔いとしては軽いほうだったが、酷く渇いていた。
これを見越して昨日のうちにジュースを2本買ってあったが、それは冷蔵庫の中である。
頭痛も吐き気もないのだから立ち上がるのは簡単なことだったが、それを困難にしているものがある。
布団を軽く持ち上げると、私の肩に首と左腕を乗せて伸びているエルがいた。
「スヤスヤ」としか表現のしようがない、安らかな寝顔である。
冬も深まり気温が下がってきたので、とうとう私の布団の中にも入ってくるようになったのだ。
こうなると囚人の足かせ同様、私は身動きできなくなる。
仕方ない、寝逃げだ。
あっちの世界に行けば、束の間渇きを忘れることができる。
しかし、目が覚めるたびにエルは場所を変えて寝ていた。毎度布団の中で。
どの位置も可愛い。
どの位置も起こせないのだ。
「すみません、キリがないので起こしに来てください」というメールをベッドの中からダンナに出し、ケリがついたのはもう昼だ。
何もしない妻と暮らしているために、こんな時はいつもすきっ腹を抱えているダンナである。
まずはラーメンだ。
とにかくダンナは早く食べたいのだろうが、ここからが長い。
ラーメン本、ネット検索でとことん調べまくり、時間をかけてやっと、車で20分ほどの新規に絞った。
混んでる新青梅を避けて、裏道を武蔵村山向けてに進む。
途中に渋滞もあり、気持ちも急いてくる。
ところが、店はなかった。
後で分かったのだがネットの情報が古く、もう閉店していたのである。
しかしラーメン屋に関してはこのようなことが多々あるので、補欠は考えてあった。
180度コースを変え、近所の小平である。
食べることにだけ発揮される、このぬかりのなさ。
食べることにだけ発揮される、この辛抱強さ。
ラーメンを食べて家に帰ると、エルを連れて寝室に行く。
何やってんじゃい、という感じでダンナがすぐに現れたが、「寒いからエルが可哀相」と言うのが私の言い分である。
ムチャクチャな言い分だ、単に寝たいだけである。
こうして再びエルとベッドに潜るのである。
しかし酒も同じぐらい捨てがたい。
どうせ無理だとは思っていながらも、「ちょっと暖まったらすぐ行くから、先に飲んでて」と言っておく。
飲酒の予約券みたいなものだ。
これで、起きるなり飲めるという訳だ。
酒の事が気になって比較的早く起きたが、リビングに下りるとダンナは寝ていた。
それを見て即、ベッドにリターンだ。
思う存分寝た。
連休だったが、いつもの休日であった。
結局飲んでいるが、明日はもう仕事だ。
金曜まで飲まないつもりでいる。
今度は本気だ。
肝臓よ、今度は君の連休である。