人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

寒いから可哀相じゃないか

う。

喉が渇いた。

吐き気はなく二日酔いとしては軽いほうだったが、酷く渇いていた。

これを見越して昨日のうちにジュースを2本買ってあったが、それは冷蔵庫の中である。

頭痛も吐き気もないのだから立ち上がるのは簡単なことだったが、それを困難にしているものがある。

布団を軽く持ち上げると、私の肩に首と左腕を乗せて伸びているエルがいた。

「スヤスヤ」としか表現のしようがない、安らかな寝顔である。

冬も深まり気温が下がってきたので、とうとう私の布団の中にも入ってくるようになったのだ。

こうなると囚人の足かせ同様、私は身動きできなくなる。

仕方ない、寝逃げだ。

あっちの世界に行けば、束の間渇きを忘れることができる。

しかし、目が覚めるたびにエルは場所を変えて寝ていた。毎度布団の中で。

どの位置も可愛い。

どの位置も起こせないのだ。

「すみません、キリがないので起こしに来てください」というメールをベッドの中からダンナに出し、ケリがついたのはもう昼だ。

何もしない妻と暮らしているために、こんな時はいつもすきっ腹を抱えているダンナである。

まずはラーメンだ。

とにかくダンナは早く食べたいのだろうが、ここからが長い。

ラーメン本、ネット検索でとことん調べまくり、時間をかけてやっと、車で20分ほどの新規に絞った。

混んでる新青梅を避けて、裏道を武蔵村山向けてに進む。

途中に渋滞もあり、気持ちも急いてくる。

ところが、店はなかった。

後で分かったのだがネットの情報が古く、もう閉店していたのである。

しかしラーメン屋に関してはこのようなことが多々あるので、補欠は考えてあった。

180度コースを変え、近所の小平である。

食べることにだけ発揮される、このぬかりのなさ。

食べることにだけ発揮される、この辛抱強さ。

ラーメンを食べて家に帰ると、エルを連れて寝室に行く。

何やってんじゃい、という感じでダンナがすぐに現れたが、「寒いからエルが可哀相」と言うのが私の言い分である。

ムチャクチャな言い分だ、単に寝たいだけである。

こうして再びエルとベッドに潜るのである。

しかし酒も同じぐらい捨てがたい。

どうせ無理だとは思っていながらも、「ちょっと暖まったらすぐ行くから、先に飲んでて」と言っておく。

飲酒の予約券みたいなものだ。

これで、起きるなり飲めるという訳だ。

酒の事が気になって比較的早く起きたが、リビングに下りるとダンナは寝ていた。

それを見て即、ベッドにリターンだ。

思う存分寝た。

連休だったが、いつもの休日であった。

結局飲んでいるが、明日はもう仕事だ。

金曜まで飲まないつもりだでいる。

今度は本気だ。

肝臓よ、今度は君の連休である。