いつもダンナが寝ている部屋で寝ていた。
記憶を呼び起こす。
そうだ、酔っ払って「エルと寝たら??」と、寒くなってエルと寝れる部屋、つまり私が普段寝ている寝室と交換したんだった。
ダンナが起きてくると、入れ違いに寝室に戻る。
もちろんエルを忘れない。
私だってエルと布団で寝たい。
これによってエルは強制的に寝続ける(寝続けさせられる??)羽目になるのだが、寝室であちこち冒険をひととおりすると、大人しく布団に入って寝た。
猫が良く寝るというのは本当である。
ぽ子が良く寝るのも本当だ。
昼前に起きると、誰もいなかった。
ダンナが娘ぶー子のダンスレッスンの送り迎えに出ているのだ。
ファ~~、腹減った。
今日のラーメンどこにしよう??とパソコンでラーメン屋情報を集めていたら、ダンナがぶー子と帰ってきた。
ダンナは私の顔を見ると、「じゃ、行こうか。」と言った。
あれ??どこか決まってたっけ??
昨日は結構酔ってたもんなぁ。
「で、どこへ??」と聞くと「はぁ!??」とダンナ。
ヤバい、何か約束してたっけ、えっとえっと・・・。
確かに酔ってはいたが、まだ最終段階的酔いではなかった。だから辛うじて思い出すことができたのだが。
いらなくなったテレビを、車でダンナの会社まで持って行くのだ。
だからラーメンは赤坂に決めたのだ。
近所の飽きたラーメンじゃないのだ。やったやった♪と湧き上がったが、メインはテレビ運びである。
10年ほど前のどでかいテレビだ。
ダンナがひとりで動かしていたが、「む~~~うぅッッ!!」と、地獄の底から湧き上がるような声を出していた。
軽い気持ちで「私も持つよ。」と片側を持ってみたが、
ムチャクチャ重い。
私は「重ぅい~~♪」と言って座り込む女は嫌いだ。
屁が出るまで力を出すぞ。
しかしこれは本当に重い。
「重ぅい~~~♪」と言ってしまった。
これを車に乗せて、会社のしかるべき場所まで持っていくのだ。
ラーメンでごまかっていたが、食べ終わって現実が近づいてくると不安になってきた。
目標の部屋は5階である。
3階まではエレベーターで行けるらしいが、その後はこの手で運ぶことになる。
3歩歩いては下ろしていたのだ。
車の荷台に乗せる時には、屁どころか内臓まで出そうであった。
ラーメンのことばかり考えていたが、逃げ出したくなってきた。
まずは台車を持ってきて、そこにテレビを下ろす。
高いところから低いところに下ろすのはまだいい。
しかし、まだいいといっても、大変な作業である。
重さに負けるとドカーンと落ちてしまう。これは一応精密機械の一味である。落したり衝撃を与えたりしてはいけないのだ。
台車に乗せればつかの間の休息だが、3階からは私たちの力だけである。
途中でダンナのデスクのあるフロアに寄る。
ダンナのデスクを見に行くと、エルの写真が2枚、飾ってあった。
ちょっと妬ましい。
チューをする唇の形をしたぽ子の、セクシー写真をくっつけてしまいたくなった。
さて、ここからは二人でこのクソ重いテレビを5階まで持って行くのだ。
ぽ子は、今の職場に来るまでは宅急便の助手をやっていた。
その前はクリーニング工場に勤めていたが、ここもむちゃくちゃキツい仕事で、重いものを持つなどはもちろん、根性がないとやれないような仕事だったのだ。
アレを7年も続けたのが自分の中で誇りになっていたのだが、
古テレビ、重すぎる(泣)
重いものを持ち上げるにあたっては「気合」が第一で、アグレッシブに挑んでいくのが必須だと思ってきたが、
こんなにイヤイヤ持ったのは初めてだ。
ヘタレは大嫌いだが、間違いなく今日の私はヘタレであった。
恐らく、これまでの人生で持ち上げた、一番重い物体である。
帰りには新宿に寄って皿をたくさん買って車に乗せて帰るつもりが、もう疲れ果ててその気力もなくなってしまった。
起きて、ラーメン食べて、これまでの人生で一番重い物持って、帰って、寝るだ。
そう、家に着いたらベッドに直行、エルと夜まで寝ていたのだった。
ここで言っても仕方がないのだが、良く寝たので月曜の抑鬱が先に来てしまった。
目は覚めたがどうしても布団から出られない。
しかも見た夢が、レジを打っていた私が打ち間違えてしまったというもので、目が覚めるたびに打ち直そうと頑張るんだけど、その度にまた眠りに入ってしまう。
そこへきてエルちんげである。
チョロチョロ遊び回っては、寒くなると布団に入ってくるのだ。
どこに「起きよう」という要素があるのだ。
7時半まで寝ていた。19時半ね。
あまりにも抑鬱が強く、起きるなり飲んでしまった。
なもんで、今はハッピーである。
HAPPY CHRISTMAS。
私の大好きな曲だ。
ジョンレノンの声って、なんてはかないんだろう。