人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

あられもなく

夜型である。

翌日が休日だというだけで、昼夜逆転したがる本能が備わっている。

つい先が気になって、読みかけの本を全部読んでしまった。

本を閉じたら朝である。

しかし、酒さえ飲まなければ、案外元気なものである。

そんな事はもう何年も前から分かってはいるが、来月、来月まで待ってくれ。

来月になったら休前日以外の平日は飲まないようにする。

それが出来たらダンナのご褒美をもらう手はずも整った。

「なんですぐに始めないの?」とやはり聞かれたが、今日は水曜日じゃないか。ダンナが飲むに決まっている。

だったらぽ子も飲みたいし、そんな急に飲むなったって心と体の準備が必要である。

天気も気分もいいので、庭の草むしりをする事にした。

カタバミめ、奴ら本当にゾンビ並の生命力である。

むしってもむしっても、1週間もすればまた生えているのだ。

さすがに私も萎えてしばらく放置していたが、花が咲き、タネ大砲がお目見えし始めた。

あれが弾けるともはや私に勝ち目はない。

私はゴミ袋と軍手を手に庭に出た。

終わりのない作業である。

そして今日は休日。時間ならいくらでもあるのだ。

私は夢中になってカタバミを引っこ抜いた。

ついでに芝も刈った。

あまりにも終わりが見えないので、二つ目のゴミ袋が一杯になったところで休憩することにした。

今日の気温は30度を越えたとか。

全身、汗だくである。

私は着ていたロンTとジャージを脱ぎ、思いっきりあられもない格好をする事を思いついた。

私はこのように時々、頑張り過ぎた時の腹いせに「あられもない」姿をすることがある。

例えばイスにわざとだらしなく座り、片肘ついてご飯を食べたり、裸足の足をテーブルに乗せたり。

もちろん人前ではやらないので、まさか私がそんなにはしたない人間だとは誰も思ってはいないだろう。

今日私の思いついたあられもない格好は、夏場に着ているベビードールのようなヒラヒラしたキャミソールと尻がはみ出さんばかりの短いパンツだ。

上下セットで600円ぐらいで買った記憶があるが、その露出度の高さは「色気」や「可愛らしさ」が狙いではなく、値段とつりあった材料費なだけであろう。

とにかくペナンペナンのチビチビである。

あまりに暑いので、その服を探す前に、着ているものを脱いだ。

ブラパン1丁である。

ちゃんとお互い相方がいるにも関わらず、見当違いの組み合わせの上下のその姿は、安物ベビードールもどきをも凌ぐあられもなさである。

私はそのままベッドにひっくり返った。

窓を開け放った寝室には爽やかな風が通り、汗ばんだ肌に気持ちがいい。

今私がこんな格好でこんな時間に寝そべっている事など、世界中の誰も知らないのだ。

こんな時私は「ざまあみろ」という気持ちになる。

寝不足の私はすぐにそのまま眠りに落ちた。

寝覚めまでは良かったが、その後が最悪であった。

忘れていた。

私は暑さには強いが、暑さには弱いのだった。

つまり、肌で感じる暑さには精神的に強いのだが、体がついていかないのだ。

貧血のような症状が出てその後はグッタリである。

今日は飲むから何かうまいモンでも買って来ようと目論んでいたのだが、立っているのも辛く、食欲もなく(これは重症を意味している。私は風邪を引いても熱があっても焼き肉丼を食べることができるのだ)、結局メインは日清のつけ麺の達人(昨日頂いたコメントの影響である)と六厘舎のつけ麺で、ダンナのために仕方なく焼くだけの肉を買って帰った。

しかし酒は飲む。

酔いが回れば体調などごまかってしまうものなのだ。

私が飲めないような事態になったら、それは救急車を呼ぶ事態である。

あぁこれで明日も台無しになるのかな。

それも今月一杯だと思って。