人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

わたみん家

7月7日。

・・・回目の結婚記念日である。

確か15回目ぐらいまでは覚えてた気もするが、だんだんわからなくなってきた。

ただ、20回目ではないはずだ。

そんな大きな節目を忘れて、大きなプレゼントを逃すほど抜けてはいないと思う。

で、平日だったがせっかくだからと、近くの駅で待ち合わせて駅前で飲んだ。

やほ~~、かったるい月曜日が記念日の宴に変身だ!!

がしかし、ダンナはビールを一口飲むとこう言った。

「まだ月曜日だしね。」

私は始め、この言葉の意味がわからなかった。

月曜日だと何なのだ??

「だから?」

何となく、自分に面白くない言葉と言うのはわかるものだ。

「なに?」

詰め寄っているうちにわかった。

つ~ま~り~、まだ月曜だから程ほどにしろって事ッ!!」

圧倒されてダンナは「いや、だから続きは家でのんびりとぉ・・・、」タジタジである。

程ほどになんかするもんか。

座っちまえばこっちのものだ。

こうなったらとことん飲むまで動くものか。

最初につまんないこと言うのがいけないのだ。

しかしだ。

4日も続けて飲み続けていると、いい加減酒のめぐりが遅くなってくるようで、なかなか酔いも回らない。

まぁ3日目以降はいつもこんな感じだ。

こうなったら食ってやる。

ここ「わたみん家」は、安くておいしいしメニューも豊富なので、食べる方も楽しめる。

今回もたくさん頼んだが、ちょっと驚く事が。

牛ハラミステーキ。499円。

出てきたのは牛はじっこのカスステーキ。499円。

思わずダンナは側にいた店員に、「ちょ、ちょっとずいぶん写真と違いますね。」と言った。

ところで私は、ダンナがクレームをつけたりしているところを見た事がない。

私もそうだが、諦めてしまうのだ。

面倒だし恥ずかしいし、言っても仕方ないかもしれないし。

だから私はちょっと驚いたが、いけ~いけ~!!

こんなカスに500円も出せるか!!消費者をバカにしやがって!!

すると店員はメニューの写真と見比べ、「は、ハイ、申し訳ありません、あの、ちょっと確認してまいります。」と消えた。

ダンナは別に文句を言うつもりじゃなかった、あんまりの事につい「ねえこれ見て!!」と面白いものを見せるみたいに言ってしまったんだと。

確かにダンナは「これでは困る」だとか「何でこんなものが」とは一切言わなかった。

おかしそうに、「だって、これがこれですよ!」と笑っていただけである。

なのでそのうち店員の事など忘れてまた飲み始めたが、店員はちゃんと戻ってきた。

真面目な顔で、厨房で確認をしてきたと言い、「本来は当店の厨房でカットしているのですが、今回はカットされてきたものをそのまま使ったもので・・・。申し訳ありません、すぐに新しいものを焼き直しますので。」と頭を深々と下げた。

思えばこの言い訳も意味が良くわからないが、わたみん家、エライ。

「ごめんちゃい」で終わらせなかった。

サービス業とはこういうものを言うのである。

言い訳が嘘でもいい。

頭を下げて「作り直します」と言える気持ちがあればいいのだ。

しかしもう店員の事など忘れて飲んでたし、ダンナの中ではもう終わっていたので「や、もうこれでいいっす。ちょっとビックリしただけですから。」と言ってカスを食べ切った。

ちょっと惜しいと思ったが、本当にダンナは「ビックリしてつい見せちゃった」だけだったのだ。

結局9時に店を出た。

娘ぶー子を置いてきたし、続きは家だ。

ダンナは安心した事だろう。

4日も飲み続けて、体がダルダルである。

午前中はほんっとうに何もやる気にならなかった。

座っているのがやっとだ。

なので今夜は早く寝ようと思う。

もう、酒の飲み方を考えないと、ぽ子は若くはないのだ。

痛感した。