人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

1年

気が付いたら1年が経っていた。

「タバコク(煙草・告別式)」と称して、会社の仲間と禁煙を誓ったのは去年の7月1日であった。

休日であったこの日、私はダンナと昼間っからカラオケ屋で飲んだくれていたが、家についてダンナが寝たのを見届けてから脱走し、タバコクに向かったのだった。

結局今日まで禁煙できたのは、私だけであった。

自分でも信じがたい結果だが、さほど苦しくもなかった。

「読むだけで止められる」という禁煙本にすっかり洗脳され、禁煙に留まらず様々なことに挑戦した。

あの日々は一体何だったのだろう?

禁煙以外に達成したものはひとつもないが。

今では禁煙しているという意識すらなくなった。

もう「止めた」のだ。

私の世界には無縁のものとなった。

正直に言えば、1回か2回、かなり激しく吸いたくなったことはある。

娘ぶー子とケンカした勢いだ。

私はぶー子と衝突すると、とにかくタバコが吸いたくなる。

説教するときもそうだ。

子供の頃のぶー子は、私の説教が始まると察知すると、タバコと灰皿を持ってきて「ハイどうぞ。」と言ったほどである。

とにかく頭に血が上って、衝動的に猛烈にタバコが吸いたくなった。

く~。

その時の心境はこの一言に尽きる。

tuguさんちの猫の名前ではない。

吸いたい、吸いたい。

でも吸えないのだ。

いや、吸える。

吸おうと思えば吸えるのだ。

禁煙なんてまたやり直せばいいじゃないか。

いやいや、ここで吸ってやり直していたら、いつまで経っても禁煙などできないはずだ。

1本だよ。

私は止められるんだから、1本吸ったって関係ない。

葛藤があった。

しかし、リセットするには大きな日々の積み重ねであった。

私は耐えた。

しかし、怒りを精神力で抑えられるほど、私は大人ではない。

冷蔵庫に突進した。

何の迷いもなくビールの缶をフン掴むと、ブシュッとプルタブを引いた。

「ちくしょう」という気持とこの「ブシュ」という音がシンクロし、妙に気持がいい。

ゴキュゴキュと一気にビールを喉に流し込むと、そこでやっと少し落ち着いた。

タバコは止めたが、こうして役目が酒にバトンタッチされた。

酒の出番はこんな時ばかりではないのだ。

多忙である。

「辛い日々だったよ・・・。まさか解放される日が来るとは思わなかった。お前も諦めずに頑張れよ。」

肺が肝臓に言っている。