寝ていた。
平和である。
珍しくおとなしく寝たのだ。
するとメールが来た。
アンガである。
今日は職場の男衆3人も飲んでいた。
7月1日からみんなで禁煙する事に決めたから、最後の夜を「タバコクベツシキ(煙草・告別式)」と称して飲んで過ごすと言ってたのだ。
私もその禁煙仲間に含まれていたから声は掛かっていたが、昼からカラオケの予定だから無理だったのだ。
・・・無理か?
私はそっと家を抜け出した。
化粧を直したかったが、化粧道具は寝ているダンナの横を通らなくては手に入らない。
スリリングだが遊んでいる場合ではない。
私は化粧の落ちかかった顔で、頭もボサボサのまま家を出た。
白木屋に着いて合流。
灰皿が凄い事になっていた。
ひとりで1つの灰皿を使っているにも関わらず、てんこ盛りなのだ。
「吐くまで吸います。」と言っていたが、本当にやるつもりだ。
課長のマイルドセブンも数字が上がっている。
最後だ、これが最後のタバコになるのだ。
「あと1時間半です。」
「あと1時間です。」
時々アンガが残り時間を言う。
いよいよ残り時間が30分ほどになると、GX-7が突然4、5本まとめて吸い出した。
「結構、いけるよ。」と言って怪しげに回し吸いしたが、課長だけが頑なに吸わなかったような気がする。なぜだ。
「10、9、8、7、・・・。」ついにカウントダウンが始まった。
「ゼロ!!」というとアンガはガシガシガシッともの凄い勢いでみんなの残ったタバコの箱を握りつぶした。
その中からそっと1本取り出し、みんなの前で火をつけ、プハ~~~と煙を吐き出した。
彼はタバコを吸わないから、禁煙にも参加していないのだ。
しかし、本当に辛いのはこれからである。
吸ったものにはペナルティが課される。
飲まなければ吸わないのは全然平気だが、飲んだら自信がない。
家に帰る能力すらないのだ。
家に帰ったら玄関で力尽きた。
そのまま寝てしまおうと思ったがダンナが気付いて起こしにきた。
出掛けたことがバレてしまった。ごめんちゃい。
よく飲んだ1日であった。