もうすぐ日本は経済破綻するから備蓄をした方がいい、と近しい人に言われていた。
それはもう2年ほど前からで、彼女の備蓄は今や2年分はあると言う。
そんなバカな、と最初のうちは笑っていた私だが、彼女は真剣だ。さて、私はなぜそれを信じない?
多分に偏っている可能性があるとはいえ、彼女はたくさん本を読み、勉強してきている。何ひとつ調べもしない私よりも、よっぽど知識はあるのである。彼女の言うことの根拠は何かと疑うよりも、彼女を信じない自分のどこに根拠はあるのか。
このところ物価はどんどん上がり、円安だ利上げだとニュースではさかんに言っている。さすがにちょっと心配になってきたので、私なりに少しばかり調べてみたのだ。
結論から言えば、経済破綻の可能性はあるかもしれないとは思う。
しかし破綻しない可能性もあるのだ。
確率の問題ではない。
いくら確率が低かろうと、何事も起こる時には起こる。問題は「起こるか起こらないか」ではなく、自分はどう予想してどう備えるか、ではないだろうか。
数年分の備蓄ができれば、安心感はある。しかし経済的事情、保管スペースの問題、賞味期限などを考えると、さすがに数年分は現実的ではない。
先のことなど、全く想像がつかない。彼女は最悪のパターンを想定して備えているのだ。備えは大きいほど、安心感も大きいことだろう。
私は不安になってきた。備えゼロですから。経済破綻以前に、災害でもあったらその時点でアウトだ。
一気に揃えるのは大変なので、少しずつ備蓄を貯めていくことにしたのであった。
やってみて気づいたが、案外思っていたよりも、賞味期限が短いこと。
乾麺がいいかと思って袋麺を大量に買ったが、早いものは年内であった。
糖質制限してるのに。
災害時に糖質制限でもなかろうと思って買ったのに、期限が切れる前に食べなくてはならないのだ。そこまで考えるなら、低糖質麺を備蓄しなくてはならない。
安くないのだ。備蓄には回せん。なら備蓄は安い袋麺だ。あれ全部、賞味期限が切れる前に食べるんだよね。意味わからん。備蓄って。
調味料も、意外と期限が短かった。
ケチャップとかあんまり使わないんだけどなぁ。
コーヒーとオリーブオイルが値上がりするっていうんで、これも多めに買っておいた。
何かが違う、と気付くのは、得てして後になってからである。良くある備蓄リストに、コーヒーやオリーブオイルなど見たことがない。
カレーのルーもちょっと違う気がする。
改めて見てみると、まともな備蓄品は缶詰と塩ぐらいであった。
もう何だか訳が分からなくなってきた。
食べたいものは保存が効かないし、選り好んでる場合じゃないのは分かるが、期限が来る前に消費しなくちゃならないのである。備えれば備えるほど、消費ノルマも増えるのだ。こうなると災害なり経済破綻なり、起こってもらわないと困る。
さしあたって、袋麵の消費だ。量に対して期限が近い。
私は太るんだろうか。
備えて食べて、備えて食べて。
備蓄太りという言葉ができててもいいんじゃないか。