人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

17歳

もう17歳か。ピンとこない。

長く一緒に暮らしていたのもあるが、現実から逃げていたのもあった。エルは人間にするともう、84歳になる。

体が小さくあどけない顔立ちなので、歳を取ったと思うことがなかった。気が付くとさすがに、という感じになっていたのだ。

なんともヨボヨボのショボショボで、頼りがない。

これでも歳の割に元気な方だとは思うが、若かった頃とはやはり違う。

すっかり痩せて、足なんかは削げている。

逆に、食欲は凄い。何度食べるんかってぐらい、食べる。

そしてとっても甘えん坊になった。

膝に乗り、すぐに喉を鳴らす。

どこへでもついて来たが、最近はあまり動かなくなってしまった。

思えば先立ったラッキーもミュウも、晩年はそんな感じだった。

認めたくはないが、最後の蜜月なのかもしれない。

エル、私を置いて行かないで、などと声に出すと、泣けてくる。

今、最後の平和な時を過ごしているのだ。背中に常に不穏なものを感じながら。

一日に、何度も何度もご飯をあげている。食べているうちが華だ。

その時は、突然来るだろう。あるいは突然ではなかったのか。

 

最後の平和は、恐怖と背中合わせだ。

この日々を、大切に過ごさなくてはならないのだ。