「水曜日だね。」
朝。
仕事に出掛ける前に、念を押すようにダンナは何度も言った。水曜日。
私の方は単なる曜日確認のように、「水曜日だね。」とだけ返しておいた。流されませんよ、というアピールである。
週の真ん中だ。ダンナは「今夜は飲みたい」と匂わせているのだ。
でももう、私は酒で失い続ける生活から足を洗ったのだ。「水曜日」なんて、理由にならない。
もし飲んでしまえば、夜のゲームと読書の時間がなくなる。朝起きれないで食事と弁当が作れなくなり、掃除洗濯などの家事にも影響が出る。
自己嫌悪と抑鬱。
もうそんな世界から、足を洗ったのだ。私はいつものペースを崩さない。
さりとて、ダンナには飲む権利がある。晩ご飯は飲み仕様にする。今は時間が惜しい時なので、晩ご飯は当分カレーでしのぐ予定であった。しかしカレーじゃ飲めん。簡単なもので飲めるもの・・・。鍋にしよう。
と決めて、買い物に出たのであった。
スーパーにて。
鍋の材料、鍋の材料・・・。
季節が変わって、鍋の素のコーナーがなくなっていた。どこかに少しぐらいあるとは思うんだが・・・。
お、春菊が安い。そういえば、家にごぼうがあったな。スキヤキ・・・?試しにスキヤキ用の牛肉を見るも、高くて手が出ない。
そうだ!鶏すきにしよう!!
鶏肉は、安かった。その中でも一番安いものをカゴに入れる。
「・・・・・・・。」
さすがにこれだけでは、という感じだ。せっかくだから、牛肉も少し入れるか。スキヤキ用にこだわらなければ、もうちょっと安い薄切り肉がある。
一番安くて少ないパックをカゴに追加。
思いついてしまった。ここに豚肉を入れれば、3種合い盛りになるではないか。スゲー!
一番安い一番少ないパックを手に掴む。
焼き豆腐、えのき、結び白滝。おおっ、ワクワクしてきた。
この時の心の動きは、さだまさしの「関白宣言」にあるフレーズに良く似ている。
「俺は浮気はしない。
たぶんしないと思う。
しないんじゃないかな。
ま、ちょっと覚悟はしておけ。」
ということで、飲んでしまったのだ。
「水曜日」は飲む理由にならないが、「スキヤキ(3種合い盛り)」はOK。
まだまだソバーキュリアスへの道のりは遠く険しい。
私はアルコール依存症であります。
次の更生プログラムは、今週の金曜日と日曜日は飲まないことだ。
頑張ります。