「・・・あのね・・・。」
「?」
ダンナの表情が変わる。改まった様子に、異変を感じ取ったようだ。あの顔は、悪い予感の方。
「うんとね・・・。」
なかなか言い出せない。しかし言わないと、先に進めないのである。
「その、う~ん・・・。」
マンガか。しかし人は、言いにくいことを言い出そうとするとこうなるらしい。
「・・・嫌になっちゃった??」
ブッ。
ダンナの図星に、思わず食べていたものを噴き出してしまった。この「ブッ」というのも、マンガ界の表現ではなかったことを知る。手についた食べカスを食べたのは、私のオリジナルだ。
「何で分かったの!?」
「分かるよ、見てれば。」
今やっているゲームを始めたのは、7月の終わり。
それから私なりに頑張って3ヶ月弱やってきたが、どうしても馴染めなかった。
困ったことに、嫌というか、別にそんなに悪い訳じゃないという状態で、ただ単にいまひとつ没頭できないというだけだったのだ。もう少し、もう少し、と思いつつここまで来たが、何だかこうなると娯楽というより単なる消費である。
やりたいソフトはたくさんある。
対して私のゲームのクリアタイムは年々延びており(歳を取って遊び方がねちっこくなってきたのだ)、ハマると年単位のこともある。
このままでは、本当にやりたいものを残したまま死ぬリスクを常に抱えて生きることになる。笑ってくれていいが、私には深刻な問題なのだ。
なので、考え方を変えた。これからは、その時に一番やりたいソフトをやる。
買った順に、とか、ハードが壊れそうだからこれを先にとか(今回がこのケースであった)、そういうのはもうやめにしよう。
しかしバツが悪い。
7月終わりにMGS5をやめてから、ライジング、エースコンバット、コールオブデューティ、とどれも続かず序盤でやめていた。
またか、というのと、中古とは言えソフト代もあるし、攻略本に関してはダンナが調べて買ってくれたのである。
「見てて面白そうじゃなかったし。」
分かってたのか。
私のゲーム歴と同じだけ、ダンナの「ゲーマーの夫歴」も長くなっていく。
こうして私は晴れ晴れと、次のゲームに移ることとなったのだった。
義務感でやっていたゲームをやめて、目下一番やりたいゲームへの転換だ。
そりゃもう楽しみで、栄えある第一回は、モニターの前に晩ご飯を用意し、ダンナも巻き込んでの鑑賞会となった。
敬愛する小島監督の最新作だ。
年単位を覚悟しておく。