人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

別れの始まり・2

実はひとつ気がかりなことがあったのだ。

結局私は迷っていた。

現状ではもう、ほとんどご飯を食べられなくなっている。

しかしだ、どうも意欲はあるような感じに見えるのである。

名前を呼ぶとまず顔を見てニャーと鳴き、次にすぐに手元を見る。そこにご飯があれば、すぐに匂いを嗅ぐ。

今はもう口をつけなくなってしまったが、突然ではない。その前には口はつけた。その前は、少しだけ食べた。

もしかして、何か口に問題が起こってたりすることはないのか。そうなると、病気の治療とはまた、別問題のような気がするのである。食べられさえずれば、体力がついて一時でも元気になる可能性がある。

まぁもうこの歳でこの状態だ。何らかの大病にかかっている可能性もあるが、それとは切り離して考えたいのである。

しかしそれをハッキリさせるには、病院に連れて行かなくてはならない。

病院は病気を治すところである。いい先生だ、病気の可能性があれば全力で病気を探し、治療にかかるだろう。

果たしてこれから検査、治療が続く生活をミュウが望むだろうか。少なくとも私は望んでいない。

でも、もし問題が単に口にあるだけなら、「食べる」という希望が出て来るのではないか。

延命は望まず摂食はさせたいというのは、矛盾かもしれない。自分でも、説明できない。

ただ、これをハッキリさせないというのは、間違っているような気がしてしまうのである。

ミョウが食べられる希望を潰しているような感覚だ。

結局私は、ミュウを病院に連れて行った。

病気の治療は望まず自然に任せたいという前提を伝えたら、先生は非常にあっさりとそれを受け入れてくれたのだ。

その上で全身を見て触れて計り、最後に口の中を良く見てくれた。

結局、口の中に異常は見つからなかったのだ。

体重の減り方から考えても、何かの病気である可能性が高いだろうとのこと。

しかしもう年齢を考えて、と、先生もそこから先へ進もうとはしなかった。

最後にできることとして、食欲増進剤を出してもらったのだ。前にもラッキーとミュウの窮地を救った薬である。

これが効かなかったら、もうできることはなさそうだ。

覚悟はできた。

無理矢理食べさせることも飲ませることもしない。

病院に行って良かった。もう何も、迷うことはない。

薬は効いてくれるだろうか。