人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子53歳。

 

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電話

「それではみなさん、せーのでゴリラの真似をしてください!せーのっ!!」

私は両手をグーにして、胸をドドドと叩いてみた。ところが正解はグーではなくパーだというので驚いた。

オービィ横浜に行った時のことである。これからちょっとしたゴリラストーリーを見ようというところだ。

そんな時に、父から着信があったのである。

休日に電話など、珍しいことだ。何かあったのか?

後になってから「ぽ子に頼みたかったんだが」などと言うことも多く、気がかりだ。

母を病院に連れて行く手段がなく、タクシー乗り場で途方に暮れていた話を思い出す。

しかし上映が始まる。今は無理だ。

シアタールームを出ると、すぐに電話をかけ直したい、でもちょっと怖い。なかなか折り返すことができなかった。いや、この時間を後悔することになってはいけない。

「ちょっと電話してくる。」ダンナに言い残し、フロアの端の人気のない方へと進んだ。

「・・・もしもしっ、ど、どうした!?」

父の声が聞こえてくると、覆いかぶせるように食らいついた。すると父は、「ああ」と笑ってから、

「ぽ子は鬼滅の刃って知ってるか?」

と、嬉しそうに言った。

はぁEE:AEB2F

拍子抜けを通り越して、意味が分からん。

「き、きめつ・・・、さぁ流行ってるみたいだけど、私は良く知らないよ。それがどうしたの?」

「いやぁ、これからテレビでやるんだけど、凄く人気があるみたいじゃないか。お前何か知ってるかと思ってな。」

知らん。なーんも知らん。悪いが何も言ってあげられん。

「そうか、お前の話も聞きたかったんだけど、お前も見ないか?」

「今出掛けてるから、無理!時間があっても見ないよ、忙しいから。」

嘘ではない。

忙しいとは、何も仕事があるとかやらなきゃならないことがあるとかの場合に限らないのである。

やりたいことが多過ぎるのだ。まぁその内訳はゲームだったり映画を観ることだったりと他愛はないが、やりたい熱度はどれも高く、鬼滅の入る隙間などない。

「そうか・・・。まぁじゃあまた会った時にでも話ができたらいいね。」

そう言って父は電話を切った。話など、できないだろう。隙間がないのである。

「おとうさんから何か来てるよ。」仕事から帰ったダンナは、レターパックを手にしていた。嫌な予感。

開けてみると、DVDディスクが入っていた。

一緒にテレビ欄の切り抜きが入っており、そこには「鬼滅の刃」という文字があった。

録ったんかい。

全く興味もないし全く時間もないと、もっときつく言うべきであった。

そもそも父は私が忙しいというのを納得していない。何度言っても専業主婦なんだろ?という反応で、日中はせんべい齧りながらワイドショーでも見ていると思っているようだ。

私は決していい主婦はなく、いい仕事(この場合、家事だ)もしていない。

しかしそれ故に、家事は終わりのないエンドレスジョブと化し、その量は油断すれば溜まるばかりで、実は結構忙しいのである。

自由時間は寝る前の1時間程度であり、ゲームをやったら終わってしまう。

ここに2時間半のアニメをひねり込ませるのは、難しいだけでなくストレスでもある。時間があったらお金を出して借りてる方のDVDを見たいよEE:AE5B1

あぁ、でももうここまで来たら仕方がない。

無邪気な父を傷つけたくはないし、恐らくこんな形の孝行にしても、もういくらもしてあげられないだろう年齢になっている。

分厚い難解な本を送ってきて感想を求められたときに比べれば、今回はアニメだ。せんべい齧っている間にコトは済む。

はぁ、来週から一話ずつ見るか。家事とカウントさせて欲しいわ。

ディスクを手に取って良く見てみると、「第22~26話」となっていた。

22話からEE:AEB2Fそれで話わかるんEE:AEB2Fキャラすら知らないというのにEE:AEB64

鬼滅の刃よ、お前はどこまで頑張ってくれるか。

こうなったらこれは、お前への挑戦状だ。一体どれだけ楽しませてくれるのか。

22話からの鬼滅の刃、期待してるぜコノヤローEE:AE474