人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

10年後、再び挑む。

「決意」というほど大げさなものではないが、「気を付ける」だとちょっと弱い気がする。

最近私に、ある思い付きがあったのだ。

とてもいい思い付きである。

いいことづくめだ。

悪い部分などひとつもない。

なので、実行している最中である。

ある日、ダンナが生食用のカキを買って来てくれたのだ。

カキが栄養豊富であることは言わずもがなだが、この私に不足している「亜鉛」を豊富に含んでおり、また単純に私の好物であり、私にとって特別な存在であった。

そんな訳でダンナの方も、このように時々安くなっているのを見かけては、買ってきてくれることがあるのだ。

やはり生で食べるのが、一番美味しい。

ミルキーな口当たり、後から押し寄せる磯の風味。

もしかしたら、この世で一番美味しいのは生ガキかもしれないなどと思う程だ。

一度でいい。

気持ち悪くなるほど、腹を下すほど食べてみたいものだ。

一方ダンナは生ガキを食べないので、私がひとりでしみしみと食べている。

たっぷりの酢に、ひとパック全部突っ込んで漬けておく。

小さいものから順に食べて行く。

ウウッ、美味しいEE:AEB64

しかし、はかない。

なぜ物事には終わりがあるのだろうか。

どんなにしみしみ食べたところで、ひとパックのカキはすぐになくなってしまう。

そこで、思いついたのである。

良く噛んで食べる。

時間をかけて食べれば、その分味わう時間も長くなるという事だ。

それから私は、極限まで噛み砕いてから飲み込むようにした。

意識して気付いたが、これまでいかによく噛んでなかったことよ。

口の中に食べ物が入っている時間は、4、5倍にも増えたのではないだろうか。

調べてみれば、良く噛むという行為は、ダイエット上にも健康上にもいいことばかりであった。

まぁ何となくそんな予感はした。

子供の頃から「良く噛んで食べなさい」などと、何度も言われてきたのだ。

しかし、なぜそれが身につかないのか。

こうして良く噛むことを意識して分かったが、「美味しいものほど早く飲み込みたくなる」のだ。

なぜなんだろうか??

味わっているのは、口だ。その中に入れておけば、その間は「美味しい」という気持ちが続くのである。それなのに、早く飲み込みたくなってしまう。あたかも胃袋が「早くこっちにもよこせ」とでも言っているように。

つまり、

「良く噛んで食べる」ということは、難しいことなのである。

美味しい美味しい、早く早く、という思いを抑えてゆっくり食べるというのは、結構なストレスだ。

だからなかなか身につかないのだろう。

実は同じことを、10年前にもステーキを食べた時に思いついて実行したことがあった。

そして年末だったこともあり、「来年の抱負」として「良く噛んで食べましょう」などと掲げていた。

それがいま身についていないという事は、それなりの結果だったということである。

簡単で、難しいことだ。

それに今、私は挑んでいるところである。