午後2時40分。
スッキリした気分で目が覚めた。
そうか、咳が止まったのだ。まとまった眠りがとれたらしい。
そのまま起きてみると、なんとも気分がいい。
標準だ。生きる標準、これである。今まで体中にへばりついていた何かが、きれいに落ちたような感じ。
土曜日の真夜中。私は突然、自分の咳で目が覚めた。
次々とまくし立てるように出るその咳は勝手にどんどん盛り上がり、しまいにはケーンコーンという不思議な楽器のような音を鳴らせた。
なんと・・・、よりによってライブ前夜に咳喘息発症とは・・・。
朝になると私の声は、カサカサという二重のかすれ声になっていた。
なってしまったものはしょうがない、何とかする方法を考えるしかないだろう。
私はネットで、ボーカル ライブ当日 風邪 など検索しまくった。
そしてこの不運に見舞われる人の多いことに、少しばかり驚いたのだ。
しかし救済策は、どれも説得力に欠ける。
水分を摂れ、ビタミンCを、ハチミツを、のど飴を、しょうがを、大根を。
どれも根拠はあるのだろうが、即効性があるとは思えない。
とりあえす自家製はちみつレモン(ぬるめ)をつくり、響声破笛丸を飲み、プロポリスキャンディーとトローチを交互に舐めて、個人練習のスタジオに向かった。
これも危険かと思いはしたが、出るかでないかの見極めぐらいはしておきたかったのだ。
ところでネットで溢れる情報の中、意外と「腹式で出せばどうかするといつも以上にイケる」なんていう「歌い方」で乗り切った話も多かったのだが、これホント!
喉にかかると嫌でも痛めた声になり、高音も出ない。
腹圧で力押しでいけば、普通に出るには出る。
ただ、後が怖いね!もう今日このライブで使い切るつもりで、やっちゃいましょう。
・・・ということで、何とか無事にライブを終えることができた。
細かい話はまた後日。
結局打ち上げで限界を迎え、心残りだったがひとりで先に帰らせてもらったのだ。
そこから本格的に寝込み、今日爽やかに目覚めたのである。
次のライブが迫っている。流れてしまった分を取り返さなくては。
・・・音楽室のエアコン、壊れてるんだよなぁ。