人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

鍵はどこへ行った?

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今日の私もまた、「今」を生きていない。

午前中のうちに、動物病院へ薬を貰いに行きたかったのだ。

しかしこのようなクズの予定など、いつもギリギリである。

出かける準備をしてバッグと鍵を持ち、玄関に出たのは11時20分であった。

まぁ車で20分ほどの距離だ。私にしては早い方である。

上着を着て靴を履き、車の鍵を、・・・。

ないEE:AEB64

そんなバカな、たった今の事である。

私は鍵を持って玄関に来て、上着を着ただけなのだ。はぁ?

どこに置いたっけ、もう思い出せない。と言うか思い出すもクソも、例によって心ここにあらずなので、記憶になどないのである。

この流れで玄関に来たら、置ける場所は限られている。

床か、床に置いてある灯油のポリタンクの上。

このクズがわざわざ床まで腰を落とすはずはないから、怪しいのは、より手の位置に近いポリタンクである。

しかし探すまでもない。そこにないのだから。

一応ポケットもバッグも探してみる。

ない。

もう一度探す。

ないものはない。

リビングに戻ってみる。

いや~~、考えにくいけどEE:AE5B1だって私は、最後に鍵を持って部屋を出たのである。

しかしそんな気がしているだけで、実は何かしに戻ってないか?そう考えるとそんな気がしてくるから厄介だ。

ない。

困った。

今日を逃すと、薬は週明けになってしまうだろう。

腎不全の薬だ。あまり間を開けたくない。

のもあるが、車の鍵がないのも困る。ないのも困るがまたこのような残念な報告をダンナにしなくてはならない事態は避けたい。

玄関に戻り、靴やスリッパの中まで探した。階段、トイレ。もう「ここにはないはず」などとは言っていられないのだ。ありそうな所にないのだから。

もう探すところがない。

動きが止まったその時、私はその存在を思い出した。

ハサミ様。

以前、保険証をなくして困っていたときに知った、おまじないのような超能力のようなものである。

これだっ、ハサミ様にお願いしようEE:AE5B1

前回と同じハサミを右手に持ち、耳元でチョキチョキしながらハサミ様に問う。

「ハサミ様ハサミ様、車の鍵をなくしてしまいました。どこにあるのでしょうか。」

そして改めて探してみる。

何度も見たところばかりだが、動かなくては出てこないのだ。

「ハサミ様、ハサミ様・・・。」

言いましても、なかったところから出てくるはずはないのである。しかし探せるところは探し尽くしてしまったのだ、繰り返すしかない。

チョキチョキしている右手が疲れてきた。

いや、まだだ、前回もすぐには見つからなかった。

「車の鍵はどこですか?・・・」

灯油のポリタンク。全く、一番怪しいところだが、ないのは一目瞭然であった。

しかしタンクにかぶせてあったカバーに穴が開いていたので、とりあえずそこに手を突っ込んでみた。

あったよEE:AEB64

ここに置いたらこの穴に入っちゃったんだねEE:AE5B1

さすがハサミ様。

いや別に、普通に探してもいつか出て来る場所でしょう、と思うか?

ところが続きがある。

良かった良かった、と大真面目にハサミ様に感謝の言葉を述べていると、ん??

まだなにか、ポリタンクのカバーの下にあるぞ。

鍵の先のようなものが、チラ見えしている。

鍵??

引っ張り出してみると・・・。

鍵だ。これも鍵。しかも家の鍵。

今年の9月24日にあごひげ酒場で梅割をMAXの3杯まで飲んで、その日になくした鍵であった。

その鍵で家に入ったのだ、家の中のどこかにあるはずとタカをくくっていたのだが見つからず、もう諦めていたものである。

ガーン。

もう出発時間はギリギリだったが私は、ハサミ様を研いでアルコールで拭き、「ハハーッ」と感謝の意を表してから家を出た。

ハサミ様。

見つからないものがある方は、お試しあれ。