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不思議なことが起こった。
何とか強引にでも納得のいく答えを作り出したいのだが、どうしても疑問が残ってしまう。
何でもかんでも霊的なものに結び付けたくはない。私が見ていない間に、何かがあったはずなのだが。
昨夜も飲んで、いいゴキゲンで布団に入ったのだ。
飲んで帰り、家でも飲んで、寝た時の記憶はおぼろげである。
まぁ恐らく特別なことはない、いつものように水をグラスに1杯、エルを連れて寝室に向かったはずである。
気がついたら寝ていた。という感じだ。
電気はつけっぱなし、枕にもクッションをふたつかましており、布団に入った時の私はまだまだ起きているつもりだったのだろう。
クッションのせいで枕が高くなっており、首が痛くて目が覚めたのだ。
クッションをどかし、電気を消そうとリモコンを探す。
ふと右を見ると、ん??なにこれ??
毛だ。ベッドの右隣のいつもエルが寝ているスペースに、毛がゴッソリ抜けているのである。
あれだけの毛むくじゃらだ、毛ぐらい抜けようが、これは尋常な抜け方ではない。
「抜けた」というより、「引っこ抜いた」「引きちぎった」というような抜け方である。
だいたいエルは、シマシマの猫なのに、ここに抜けている毛は全て黒。
そして、1センチほどの短い毛だけなのである。
肝心なエルはというと、ベッドから下りて、窓の外を凝視していた。
もー、そういうの、やめてねEE:AEB64
深く考えると眠れなくなりそうだったので、抜けた毛を証拠品のように丁寧に集めて、また寝ることにした。酔っていたのが救いだ。すぐに寝ることができた。
そのままそのことは忘れていたのだ。ラーメン屋で携帯の写真を整理していて思い出したのである。
再びよみがえる疑問。
なぜあのような毛があのように抜けていたのか。
私はどうしても、合理的な答えが欲しかった。
というのも、以前2ちゃんねるのオカルトサイトで、飼い猫がドアの前で怯えながら大量に脱毛している、という話があったのである。
どうやら猫は、極度に緊張したり恐怖を感じたりすると、脱毛するらしい。
それをそのままエルに当てはめるとすると、昨夜、エルが脱毛するような恐怖が、あの部屋にあったということになってしまう。
家に帰ってから、抜けた毛とエルの全身をじっくりと観察してみた。
体毛のほとんどは2、3センチだが、短い部分もあるにはあった。
混じりけのない黒で、1センチぐらい、それは足の裏であった。ますます訳がわからない。
「毛づくろいしながら自分で噛んで抜いたんじゃないか?」とダンナは言う。
しかしあのような広範囲に散らすように、ペッペッと抜く姿がイメージできない。
このままでは「想像にも及ばぬ不思議なこと」が起こっていたことになってしまう。
私は一生懸命あれこれ考えたが、もう限界だ。
ダンナなどは「不思議だけど全然気にならない」と言う。
私が考えすぎなのか、ダンナが鈍感なのか。
ダンナが鈍感じゃないか??何で平気なんだろう??
さしあたってしばらくは酔っ払って寝る予定が続いているので、さし迫った恐怖はない。
しかしこれは、おかしなことではないか??
答えが欲しいのだが。