今の家に越してきて、7年ほどになる。
もう新築とは言えなくなったが、これまで築30年前後の家にばかり住んでいたのだ、まだ綺麗な方であると言っていいはずなのだが。。
メンテナンスを怠っていなければ、もっといい状態を保つことができただろう。
しかし、メンテどころか「もうどうしようも手の施しようのない」という場所が我が家に存在するのだ。
壁だ。
室内のクロスである。
もう全面、エルの爪とぎと化した。
諦めた訳ではない。
ボリボリ音がすれば即座に叱るが、全く全然これっぽっちも効果がない。
どうかすると、まるで挑むようにこっちを見ながら悠然と研いでいるぐらいだ。
そんな時に声を上げて叱ると若干姿勢が低くなったりするが、それでも「なんですか~」というようにこっちを見据えたまま手を止めようなどという気配はない。
他にできることがないので、諦めた訳ではないのだが現状、ただ叱っているだけとなっている。
叱るにしても、私は大声を上げるが動かない、ダンナは動くが「だめヨ~」とまるで迫力がない。
なのでエルはそのエリアをどんどん拡大していき、今ではエルが背を伸ばして手が届くあたりのところは一面、クロスがボロボロに剥がれてしまった。
以前はそのささくれだった部分をチマチマボンドでとめていたこともあったが、もうささくれどころか、口で引きちぎったりするようにもなったので、ベロンベロンのボロボロである。
諦めた訳ではないが、諦めたに近かった。
しかし、これでは恥ずかしくて人を家に呼べない。
恥ずかしながら呼んだ人もいるにはいるが、呼ばれた人よ、あなた方は選ばれた人である(笑)この惨状を見ても、変わらぬ付き合いをしてくれると信じた人なのである。
とは言え、こちらが選べないケースも出てくるだろう。親戚筋だとか、娘ぶー子筋だとか。
何とかしたい気持ちは常にあった。
猫が爪を研ぐ、というのは本能なので、同じ問題がもっとあちこちで起こっていていいはずである。
そして、あちこちで起こっているなら、それにまつわるグッズも多く出ているはずである。
まずはエルが気に入ってくれそうな爪とぎを探したが、どれも気に入ってくれなかった。
次にダンナが作ってくれたが、これも使ってくれなかった。
ならば壁をカバーしようと「爪とぎ防止シート」なる透明のシートを貼ったが、やがてこれをもボロボロにしてしまった。
名案を思いつくまでの間だけ、と思って、100均で買ったペナペナのテーブルクロスを画鋲で張っていた事もあったが、こちらは大五郎が面白がって出たり入ったりしているうちに画鋲がはずれ、床に落ちたテーブルクロスは無残にも食いちぎられ、蹴散らかされてやはりボロボロである。
これはもう、クロス総貼り替えしかないのだろうか。
しかしだ、そのクロスは大丈夫なのか??
単に引っ掛かりがないツルツルというだけではダメなのだ。
猫の爪が立たないほど硬くなくてはならない。
そんなクロス、あるのかよ。
しかし私は諦めたくなかった。
硬い壁。
プラ版は?
こんなことにこだわるからなかなか進まないのかもしれないが、見栄えが悪いのも嫌である。
爪とぎ跡が見えなくても、壁一面プラ版ってどうなのだろうか。プラ。
硬くて綺麗な壁。
石・・・、タイル!!
タイルいいじゃん!!
早速私はタイルの貼り方をネットで調べてみたが、ものごっつい面倒かつ高度であった。
しかも、貼ったら最後、剥がすのはもっと大変である。
私などが貼ったタイルである、いつ後悔して剥がしたくなるか分かったものではない。
着脱可能なタイルの壁、これが理想だ。
うーむ、何となく形になりつつあるが、煮詰まりつつもある。
そして煮詰まって、形になった。
あ、見える形にはなってないが、構想は描けたということである。
まぁ一番大変なのは見える形にすることだが。
プラ版でも板でもいいから、ビシッとした平らな板状のものにタイルを貼って、絵でも飾るようにかっこいいビスで壁にかけちゃえばいいじゃんEE:AE5BE
スゴイスゴイ、これは完成したら凄いぞ。
爪とぎ屋敷から一気に中世ヨーロッパの城である。
しかし、考えついてから3ヶ月が経った。
作ること以上に着手することが難しいのであった。