人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

九州、迫る

九州、つまりダンナの両親が泊まりに来る日が近づいている。

寝ている場合じゃないのだ。

私にもプライドはある。

こんな状態では迎え入れるのは無理だ。

とにかくお客を迎える準備をする前に、普通の家の状態に持っていかなくてはならない。

そうするとまずは普段の掃除・片付け、となる。

しかし私の家事の持久力は3日もない。

なのでせっかく片付けたところも元に戻ったりして、なかなか先に進まない。

だから昨日は月曜なのに頑張ったのだ。

今日も引き続き頑張ったのだが。

物事には優先順位がある。

例えば洗面台なんかは結構汚れているので必須ポイントだが、今磨くと彼らが来る前にまた汚れてしまう。

そういうすぐ汚れる場所は後回しだ。

4日前の優先ポイントとしては、彼らの寝る和室だ。

うっ・・・クラッとする。

壁も障子もボロボロなのだ。

エルだ。

エルが壁で爪を研ぐので、ちょうど彼女が立ち上がって手を伸ばしたあたりの高さが、帯状にささくれ立っている。

そして障子にも爪痕がたくさんつき、右下の隅は黄色くしみったれている。

黄色である、黄色。察して欲しい、黄色(泣)

そしてそれを放置したためにそこにカビが生えた。

こんな部屋にはダンナの両親はおろか、自分の親だって寝かせられない。

私はまずネットで障子の貼り替えを調べた。

それによるとまず霧吹きで濡らしてのりを緩め、貼ってある障子紙を・・・この時点でギブアップだ。

私ができるのは霧吹きまでである。

障子は業者に出すっ。

次は壁だ。

実は猫の爪研ぎ後の修繕は以前も試みた事がある。

アロンアルファでチマチマとささくれを貼りなおしていったのだが、実はアロンアルファなんかで貼ると後が大変ですよ、というコメントを頂き、自分の単純な頭の構造を恥じたのであった。

今回はこうだ。手でゴシゴシゴシ~~~!!

ポロポロとささくれ立ったクロスがこぼれ落ちていく。

しかし落ちなかったものは余計に角度をつけておっ立ってしまった。

数は減ったがこれではますます目立つ。

今度は指先でそれを押し戻してみた。お。

これが意外と素直に戻り、とてもきれいになった。

そうか、これは押すだけで戻るのだ。しくった、こすり落とした部分が惜しい。

私はささくれを、ひとつひとつ丁寧に指先で壁に押し付けていった。

まるで何もなかったかのように元通りである。

よし、今日の仕事はこれに決まりだ。

部屋の3辺を全て元通りにしてやる。

私はコーヒーを温め直して隣に置き、あぐらをかいて作業に没頭した。

今回もまた、誇り高き遺跡の修復作業でもしている気持ちだ。

汚いものがきれいになっていく様は気持ちがいい。

壊れたものが直っていく様は気持ちがいい。

どれ、さぞかしきれにいなっただろうと少し下がって遠目で見たら、なんと、先にやった部分はもう元に戻っていた。

は?

私はもう一度ささくれを指で押し、今度はそこをじっと見ていた。

それは、ゆっくりとまた元の場所に戻っていく。

私は夢中になって40分間この作業をやっていたが、無駄だったのだ。

誇り高き修復作業をするアホである。

彼らは4日後にやってくる。

私は日常の家事に会社の仕事がある。

この40分と自分の足りない頭が憎い。

腹立たしいので壁の一件はなかった事にする。エルがボロボロにした事も。

時間がない、何をしよう?む。

ブラインドが埃だらけである。

ダンナのお母さんはとてもとてもとて~~もキチンとした人で、自宅はまるでホテルのようにピカピカで整然としている。

おそらく埃とか汚れとかはお好きでないだろう。

もうどんどん気が付いたところからやっていこう。

初めてである、ブラインド掃除。

私は年末も食っちゃ寝でグータラしていたので、普通の人が大掃除の時に着手するような場所が手付かずになっているのだ。

ここも然り。

フワフワの綿埃が積もっていた。

まずはダスキンのハンディモップで拭いて見たが、恐ろしい事にフワフワのくせにビクともしない。

そこで今度はぞうきんをしぼって1枚なぞってみたが、指1本分だけ真っ黒になった。

そしてこのブラインドの羽は45枚あった。

もうすぐ晩ご飯の下ごしらえをする時間が迫っていたが、途中で止める訳にもいかないので最後まで拭いた。

きれいになった。

というかきれいになったように見えた。

私はその輝く、というか輝いたように見える羽を指先で撫でてみたが、GOD、なぜザラッとしてベタッとしてる?

このブラインドはカウンターを挟んでキッチンの向かいである。

恐らく油だとかタバコのヤニだとかがこびりついているのだろう。

洗剤を・・・と思ったが、もう晩ご飯の下ごしらえの時間に20分も食い込んでいる。

ブラインドは諦め、早く晩ご飯の準備を、今夜はカキグラタンなのだ。

で、例によってレシピがなくては作れない。

私はネットで検索を始めたが、どんどん時間は過ぎていく。

もうホワイトソースなんか作っている時間はない。

ホワイトソースを使わないグラタン風でいいっ!

カキとミルクのオニオングラタン

タマネギを4つスライスし、中火でしんなりするまで炒めたら弱火で約40分、こげ茶色に色づくまで炒めます。

4つ。

40分。

しかし私は家に3個しかなかったタマネギをスライスしてから会社に行った。

仕事から帰って1個切って40分炒めなくてはならないが、写真がうまそうでどうしても食べたくなってしまったのだ。

妥協を許さない芯の強い人間なのだ、ぽ子は。

かくして今夜の晩ご飯はカキとミルクのオニオングラタンとアスパラベーコンのチーズパスタだ。

楽しみである。

ところで結局タマネギ4つ分を炒めたのはぶー子である。

良心が痛むので一応書いておく。