人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

死の庭へようこそ

梅雨入りしたのか。太陽が遠くなった。

先日、気まぐれを起こして芝刈りをしていたら、近所の奥様が出てきたのだ。

別に私に会いに来たのではない、出かけようとしていたのだろう。自転車にまたがって、目の前を通り過ぎようとしていた。

「こんにちはーEE:AE488

「こんにちはーEE:AE488

極力近所づきあいを避けているが、頑なに拒んでいる訳ではないので挨拶ぐらいは愛想良く返すし、話しかけられた事には答えるようにしている。

そうするとだいたい、話好きの人とは長話になるものである。

この奥様も、良く喋る方である。1時間ぐらい。ハハ。

芝はお世話が大変でしょう、と斬り込んできたが、いえいえそんな事ないんです、ここ数年放置でしたから。今年は本当に気まぐれ。見れてラッキーですよ。

そこから庭の話になり、奥様の家の庭の話になり、奥様の家の庭の花の話になる。

「見ます??」・・・それは一応質問だが、かなり答えは限定されている問い方で(笑)

まぁ時間はあったし花も見たかったから、お邪魔することにした。

彼女の言う花とは、実は近くの川っぺりから引っこ抜いてきて増やしたものだという。

何種類かあったが、這うタイプのもので、名前は・・・、「へびいちご」しか覚えられなかったEE:AE4E6

まぁじゅうたんのように地面を這って、小さな花や実をたくさんつけているのだ。見事である。

ここまでに数年を要したが、勝手に増えてくれたので世話はラクだったらしい。

「少しお分けしましょうか??」えっ・・・?これまた答えが限定されている問いだが、戸惑った。

そりゃくれるなら欲しいし嬉しいが、ちゃんと育てる自信がないのである。

こんなに近くに住んでいたら、もらった花の成長バレバレである。絶対に枯らす訳にはいかない。

しかし私はサボテンも枯らす女である。私の肩にはすでに、たくさんの花の霊が重くのしかかっている。

「いえ、欲しいのは山々なんですが、私、育てるのが下手なので、自信ないです・・・。」

しかし彼女は「あら、これならほっといても増えるから大丈夫よ~。根っこだけ埋めればほったらかしで。」

なんと、魅力的なタフさである、ヤバい。

実は奥様がくれると言った花は、常々「可愛いなぁ」と思っていたのである。

しかし万が一にも枯らしてしまったら、万が一にも「ほっといても育つ花」を枯らしてしまったら・・・。

結局もらった花は地面に這うやつ4種類、それにあじさいも「地面に刺しとけば勝手に育つわよ」と言ってポキッとひと枝。

それを芝のはげたところに植えることにしたが、這うやつ4種は奥様が適当にブチブチッと抜いたもので、もしゃもしゃである。

良く見ると根っこは非常に華奢で見つけにくく、「植える」というより「土をかける」という感じであった。

夕方見たらすでに4つともグッタリしていかにも「引っこ抜いてきた草」という感じになっていたが、次の日に日光が差せば少しは元気になるかもしれない、そう期待して家に戻ったのだった。

翌日は雨。

その次の日は晴れたり曇ったりで、パリッと日が差さない日が続いてしまった。

花はもはや「雑草を抜いてきて一時的に置いてある」という状態と変わりはなくなってしまった。あじさいはペッタリと地面に倒れ、変色し始めている。

何が敗因なのか?

日光が足りないのか?奥様の家の日陰に咲いていたのだが。

奥様の引っこ抜き方がいけなかったのか?そもそも自分は川から同じように引っこ抜いてきて、あそこまで増やしたのである。

では植え方が悪かったのか?しかしあれ以上の植え方を想像することができない。

梅雨に入ってしまった。絶望的である。

こうなったら川へ行く。

ゴッソリ植えればそれだけ生存率が上がるだろう。

梅雨が明けたら奥様は驚くだろうか。

あじさいだけはどうにもならんが。

枯れてもいいあじさい、激しく募集中。