会社の上司グッティ氏が、29歳になって2日目である。
そして、22歳になって2日目の人間も、わたしの身近にいる。
娘ぶー子の彼氏・リュウちゃんである。
私達がグッティ氏の誕生を祝ってバカ騒ぎをしていた時、リュウちゃんはどう過ごしていたのだろうか。
私はそれが気がかりで仕方がなかった。
なぜならば、私達がバカ騒ぎをしていたカラオケに、ぶー子も友達と来ていたからである。
偶然カラオケボックスで会ったので驚いたが、後で考えてみたらリュウちゃんはどうした?である。
そういう夜だったので、ダンナは家でお留守番状態であった。
ひとりでもネットゲームをやるのかな?と疑問が沸いたので、「昨日モンハンやった?」と聞いてみたのだが、まぁ散々だったらしい。
クエスト中にぶー子からメールがガンガン来る、放置していたら電話、それも放っておいたら家電が鳴り、合間にやっとメールを返すと今度は誰かがインターホンを鳴らす。
「ええっ??だってもう遅い時間だよねぇ。誰??」
「それが、オレもゲームで手が離せなくて出られなかったんだよ。で、後で出てみたら・・・。」
ドアの前に、サーティワンのアイスの大きなボックスとビールが置いてあったそうな。
後でぶー子から聞くと、それはリュウちゃんからだったらしい。
「誕生日にアイスとビール持って・・・。」
「ぶー子とお祝いしたかったんじゃないの?」
ダンナも出ない、ぶー子はリュウちゃんほったらかしてカラオケ、誕生日にたったひとりで誰も出ない彼女の家に、アイスとビールを持って・・・。
翌日ぶー子はダンスの練習に出ていたので、戻ったのはもう夜の10時を回っていた。
帰るとまず「なんでリュウちゃんを!!」と私はなじった。
ぶー子の言い分としては、もうすでに彼の休日にお祝いは済ませた、当日は急に大阪に帰る事になった友達と会うことになった、であるが、それにしてももうちょっとフォローとかないのか??
「お金ないよ。じゃあ今日リュウちゃん泊めてもいい??」
そういう問題なのか自分でもよく分からないが、とにかくこのままではあまりにも可哀相である。
私はお金を渡して、二人で何か外で食べて来い、とカッコつけた。
11時前に仕事を終えたリュウちゃんが現れたが、アイスは誕生日に職場の人がたくさん買ってくれたようで、食べきれないから持ってきた、と。ビールは「良かったらどうぞ。」と言う事らしい。
もしかしたら一緒に過ごしてあげるべきだったのか。
しかしその時私は久米川で酒をかっくらっており、ダンナはコントローラーを握り締めてモノブロスと戦っていた。
ごめんね、リュウちゃん、ほんとゴメンネ。
つーか、ぶー子、しっかりせい。
お前は最近リュウちゃんを粗末にしている。
馴れ合いとは恐ろしいものである。
それに気付くのは相手が去ってからなのだ。
「リュウちゃん、ホントにごめんね、せっかく持って来てくれたのに・・・。ぶー子ったらもうー・・・。」
「いえ、いいんです、どうせ仕事でしたから・・・。」
どうせ仕事でしたから。EE:AEB64
「でももうちょっと何かできたよね。」
「いえいえ、毎年こんな感じですから・・・。」
毎年こんな感じですから。EE:AEB64
「だったらなおさら今年ぐらい・・・。」
「いえ、もう慣れちゃいましたから全然平気です。」
もう慣れちゃいましたから全然平気です。EE:AEB64
「そんな事言わないで!!」
「いえもう自分でも自分の誕生日忘れてるんですよ、この頃は。」
自分でも自分の誕生日忘れてるんですよ、この頃は。EE:AEB64
実は誕生日当日、私はグッティ氏に渡すプレゼントを玄関に置いておいた。
ピカピカの包装紙に包んでリボンがかかり、いかにも「プレゼント」というものである。
この日リュウちゃんは昼に一度ウチに来たが、その時目にしてしまったはずである。
リュウちゃん、どうか来年までぶー子と付き合っていてね。
もう1回チャンスを!!