人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

31とビール、22のロンリーナイト

会社の上司グッティ氏が、29歳になって2日目である。

そして、22歳になって2日目の人間も、わたしの身近にいる。

娘ぶー子の彼氏・リュウちゃんである。

私達がグッティ氏の誕生を祝ってバカ騒ぎをしていた時、リュウちゃんはどう過ごしていたのだろうか。

私はそれが気がかりで仕方がなかった。

なぜならば、私達がバカ騒ぎをしていたカラオケに、ぶー子も友達と来ていたからである。

偶然カラオケボックスで会ったので驚いたが、後で考えてみたらリュウちゃんはどうした?である。

そういう夜だったので、ダンナは家でお留守番状態であった。

ひとりでもネットゲームをやるのかな?と疑問が沸いたので、「昨日モンハンやった?」と聞いてみたのだが、まぁ散々だったらしい。

クエスト中にぶー子からメールがガンガン来る、放置していたら電話、それも放っておいたら家電が鳴り、合間にやっとメールを返すと今度は誰かがインターホンを鳴らす。

「ええっ??だってもう遅い時間だよねぇ。誰??」

「それが、オレもゲームで手が離せなくて出られなかったんだよ。で、後で出てみたら・・・。」

ドアの前に、サーティワンのアイスの大きなボックスとビールが置いてあったそうな。

後でぶー子から聞くと、それはリュウちゃんからだったらしい。

「誕生日にアイスとビール持って・・・。」

「ぶー子とお祝いしたかったんじゃないの?」

ダンナも出ない、ぶー子はリュウちゃんほったらかしてカラオケ、誕生日にたったひとりで誰も出ない彼女の家に、アイスとビールを持って・・・。

翌日ぶー子はダンスの練習に出ていたので、戻ったのはもう夜の10時を回っていた。

帰るとまず「なんでリュウちゃんを!!」と私はなじった。

ぶー子の言い分としては、もうすでに彼の休日にお祝いは済ませた、当日は急に大阪に帰る事になった友達と会うことになった、であるが、それにしてももうちょっとフォローとかないのか??

「お金ないよ。じゃあ今日リュウちゃん泊めてもいい??」

そういう問題なのか自分でもよく分からないが、とにかくこのままではあまりにも可哀相である。

私はお金を渡して、二人で何か外で食べて来い、とカッコつけた。

11時前に仕事を終えたリュウちゃんが現れたが、アイスは誕生日に職場の人がたくさん買ってくれたようで、食べきれないから持ってきた、と。ビールは「良かったらどうぞ。」と言う事らしい。

もしかしたら一緒に過ごしてあげるべきだったのか。

しかしその時私は久米川で酒をかっくらっており、ダンナはコントローラーを握り締めてモノブロスと戦っていた。

ごめんね、リュウちゃん、ほんとゴメンネ。

つーか、ぶー子、しっかりせい。

お前は最近リュウちゃんを粗末にしている。

馴れ合いとは恐ろしいものである。

それに気付くのは相手が去ってからなのだ。

「リュウちゃん、ホントにごめんね、せっかく持って来てくれたのに・・・。ぶー子ったらもうー・・・。」

「いえ、いいんです、どうせ仕事でしたから・・・。」

どうせ仕事でしたから。EE:AEB64

「でももうちょっと何かできたよね。」

「いえいえ、毎年こんな感じですから・・・。」

毎年こんな感じですから。EE:AEB64

「だったらなおさら今年ぐらい・・・。」

「いえ、もう慣れちゃいましたから全然平気です。」

もう慣れちゃいましたから全然平気です。EE:AEB64

「そんな事言わないで!!」

「いえもう自分でも自分の誕生日忘れてるんですよ、この頃は。」

自分でも自分の誕生日忘れてるんですよ、この頃は。EE:AEB64

実は誕生日当日、私はグッティ氏に渡すプレゼントを玄関に置いておいた。

ピカピカの包装紙に包んでリボンがかかり、いかにも「プレゼント」というものである。

この日リュウちゃんは昼に一度ウチに来たが、その時目にしてしまったはずである。

リュウちゃん、どうか来年までぶー子と付き合っていてね。

もう1回チャンスを!!