私は、水曜に飲み過ぎてしまった事を激しく悔いていた。
二日酔いで昨日は台無しである。
結局まともに働いた平日は火曜日だけじゃないか、ハッ、今日もグータラしていた事がバレてしまった。
とにかくそんなんで、昨日は飲まないでサッサと寝るつもりであった。
平日残り一日、ここで無駄にしたらあまりにも「ぽ子」である。
深夜12時半、娘ぶー子帰る。
何足もわらじを履いているので多忙らしく、この頃はすれ違いばかりであった。
そこにダンスのわらじがイベント出場によって非常に忙しくなり、深夜練で朝帰りが続いていたのだ。
久しぶりである。
19年間一緒に暮らしている娘、久しぶりなり。
「ただいま・・・。」と入ってきたぶー子のその顔は、泣き顔であった。
「ど、どうした!?」
19年間一緒に暮らした親である。娘の泣き顔はこたえる。
「ん、さっきそこでチャリで転んじゃってね、マンホールで。」
19歳の娘がマンホールで転んで泣く。
私は小学生の時に鼻を折ったが、泣かなかった。
人生で一番痛い思いをした出産でも、泣きはしなかった。
人間、痛みで泣くものだろうか、チャリで転んだ痛みで。
まぁ言いたくない事もあるだろう。
食べるラー油でご飯を食べてみろ、と言ったら大人しくムシャムシャ食べ始めたので、私は今アツいカメラのHPを見ることにした。
「このカメラ、すごいんだよ。買ったらリュウちゃん撮りたいなぁ~EE:AE478」
リュウちゃんと言うのはぶー子のカレシだが、これがもうとても可愛い顔をしているのだ。
ぜひ私の愛機(予定EE:AEB80)に収めたいものである。
ところがぶー子はこう言った。
「ん、無理かもね。別れるかも。」
涙の原因は、リュウちゃんとのケンカであった。
まぁケンカはしょっちゅうしてるし、別れるだ何だも良く言っている。
あまり心配はしてないが、結構深刻な原因がそこにはあった。
「もうずっと、深夜練してるじゃん??それが・・・・・・・。」
ぶー子はリュウちゃんとの間に起こった摩擦について話し始めた。
いかん。
如何ともし難い問題である。
どっちも悪くはないが、どっちも悪い。
困ったもんだね、っていうか、もう1時。
早く寝たかったことを思い出したが、滅多に会えないぶー子が参っているのである。
ひとしきり話を聞く。
吐き出して少しはスッキリしたのか、「もうさぁ、あんな怒鳴ってる人とかってすごいなぁとか思いながら聞いてたよ。お母さんなんかもそうだけど、すげーイカってるところとか見ると、最近は『元気があっていいねぇ』って思うよ。何か普通に感心する。うん。」と最後にサラッと言った。
その言葉でこの話は終わったので、私は歯を磨き始めた。
部屋を出るまでは交流の場である。
私は歯を磨きながら田代まさしが逮捕された話をしたのだが、顔が分からないというのでパソコンで画像を出した。
ズラッと田代くんの画像が写し出される。
「あー、あー、この人見たことある!」
ふふふん、昔私は原宿で、マーシーのスウェット買ってパジャマにしてたんだぞ。
低レベルな自慢。
「そーそー、そう言えばこの間YouTube見てて、ヴィジュアル系がHEY!HEY!HEY!に出た時の見つけたんだけどー、面白いからちょっと見て!!」
ぶー子はパソコンがついたついでのつもりだったのだろうが、長そうなついでである。
しかしテメーはわざわざ見たいかどうかも分からない田代まさしの画像を何十枚も見せておいて、私はそんなの見ている時間はないとは言いにくい。
久しぶりに帰ってきたのだ。
HEY!HEY!HEY!数分で娘の非行を防げるのである。
ナイトメア。
ぶ、名前が柩てEE:AEB64
しかしホントにダウンタウンはトークが上手い。
V系をここまで喋らせるなんて凄い、と言って、ぶー子はさらにガゼットの回もON・AIREE:AEAAB1時15分。
よっし、終わった、それじゃ・・・、
しかし「平井堅が初めてHEY!HEY!HEY!に出た時、面白かったよ!」と検索を要求していた。
ああん、だって思い出しちゃったのよ、見たいじゃないか。
ひらいけん。
平井・・・健?
違う違う、平井堅。
HEY!HEY!HEY!。
あー、ない??
確か初めて来た時だったから、曲は「楽園」。
平井堅 楽園。
ないねぇ。古過ぎたか。
無駄な時間であった。
早く寝なくては。
でもあっ!!思い出した!!
「神聖かまってちゃんって知ってる??」
上司グッティ氏のオススメバンドである。
神聖かまってちゃん、数曲。1時45分。
「じゃあシメにこれでも聴いてください。」
ラストはぶー子リコメンド、ブリーフ&トランクスの「コンビニ」だ。
その後に下ネタ少々で、布団に入ったのは2時である。
朝は辛かった。
辛うじて6時半に起きたが、ダンナに朝ご飯を出し、見送り、カメラのことを調べて、8時半にぶー子を起こす。
洗濯機がゴトゴト回る音を聞きながらぶー子が起きて来るのを待っていたら、いつの間に寝ていた。
目が覚めたら洗濯物を干した。
前回取り込んだものをたたんだ。
たたんだ物をしかるべき場所に持って行く。
私の物はタンスへ。
ダンナの物もタンスへ。
ぶー子の物はぶー子の部屋へ。
「ああ!?」
ぶー子は下着姿で、床でぬいぐるみを抱いて寝ていた。
もう10時半である。
寝ておいて言うのも何だけど、起きなかったんかい!!
ぶー子はすっ飛んで出かけていったが、次に会えるのは日曜日である。
久しぶりになるので、またズルズル夜更かししてしまいそうな予感。
翌日が休日で良かった。