分かっていたつもりである、その時は。
だけど、実際のところ、分かってなかったんだなぁ、という事は多々ある。
少なくとも私には。
つまり、読みが甘いのだ。
仕事帰りのスーパー。
例によって献立を考えてなかったので、その場でみつくろって買って来なくてはならない。
まぁ簡単と言えば簡単だ。
私が自力で作れるものなどいくらもないからである。
・・・と、目に付いたのはイワシと甘エビ。
イワシはこの間買ったものと全く同じ状態、刺身用、丸ごと5尾、280円。
安い・・・。
安いであります、隊長。
貴様、自分で下ろせるのか。
ハイ、自分こう見えても魚を下ろすのは得意であります。
ならば買え。
アイアイサー。
・・・また買ってしまった、イワシ5尾。
しかし頭の中のレシピは、前回覚えたカルパッチョと刺身しかない。
隊長、今夜もカルパッチョであります。
貴様、下ろせても調理ができないのか。ガツッ。
ウッ、申し訳ありません。
今夜もカルパッチョである。
しかしカルパッチョ、侮るなかれ。
結構面倒臭い作業である。
何度も何度も書いて申し訳ないのだが、私には時間がないのだ。
なくはないが、足りないのである。
そこへきてカルパッチョ。
分かってはいたが、やはりかなり時間を食った。
くー、早く早くッ。
しかも甘エビ・・・。
大きなパックにタップリ入っておった。298円。
それが、それが半額になっていたのだ。
もちろん殻を剥かなくてはならないことは、その時に見て分かっていた事だ。
それがなぜか「こんなのチャチャッとできるやん」と思ってしまったのだ。
チャチャッとできるかいな、時間がなくて1分1秒でも惜しいのに、そういう時のエビの殻剥きはチャチャッととは言わない。
それを思い知るのは調理する段階であったが。
さて、と、いざ甘エビのパックに向かい合ってみて分かった事、それは「こりゃ結構多いぞ」という事と「こりゃ結構ヒドいぞ」という事であった。
大きなパックが盛り上がるほどパンパンに詰められたその甘エビは、どうやら解凍もののようで、酷く変色してクタクタであった。
頭など、黒い。
張りのなくなった皮はブカブカと身から離れているが、ところどころひっついて離れない部分がある。
ヤワなそいつは、焦って剥くとすぐに千切れてしまう。
尻尾に近い部分は普通スポッと抜けるはずだが、まともに抜けたのは2尾。
しかもスポッという感触とは程遠かった。
ミチッと。
苦労して剥いたあげく、残った部分は半分以下の大きさであった。
一方、味噌汁のダシにしようと思って袋に入れていった殻と頭の方は、山になった。
これはもしかして、刺身として食べるより全部ダシだったのか?
しかし一応ワサビがついていたのである。
数えたら54尾も入っていた。
幼虫のようなその小さな身をひとつ食べてみたが、甘エビというか「甘エビみたいなもの」であった。
こんなものを54尾。
くそー、時間を食ってしまった。
今夜一番美味しいのは味噌汁だろう。
自信を持って言う。