今思い返しても本当に辛い頃だった。
彼は私と別れたいといい、私は別れたその後に彼のもとに何が待っているのか知っていた。
私はムチャクチャな生活をしていたが、そんなことはいつまでも許されるものではなかったのだ。
文字通り私は地獄に突き落とされた。
何時間にも感じられる呪わしい1秒を過ごし、1日が終ったことに安堵する。
しかしやがて来る明日も拷問のような1秒の繰り返してある。
辛い毎日であった。
五感も麻痺し、ただ呆然と生きていたあの頃、やっと聴いた曲はたまたまボニー・ピンクのアルバムだった。
何でも良かったのだ。
何かが私の気を紛らわせてくれれば良かっただけである。
この「Evil and flowers」は冒頭と巻末に2回入っている。
確か後に入っているほうがこのピアノ1本の方だった気がするが、もう何年も聞いてないので自信はない。
先に入っているのはバンド形態のまったりしたヴァージョンだ。
私は断然ピアノ1本の方が好きだ。
Go somewhere to find yourself
あなた自身を見つけに、去るがいい。
別れる事が彼の幸せだと思う気持ちと、私達の絆を信じたい気持ちとがせめぎあっていた。
自分の存在が彼を苦しめている事が、私を苦しめた。
今でも聴くとあの頃を思い出す。
音楽には記憶が宿るのだ。