人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

ごめんなさい

歯医者である。

私はいけない事をしてしまった。

「歯、どう?まだ痛む?」と先生に聞かれて、「はい、まだ痛いです。」と嘘をついたのだ。

正確に言えば100%の嘘ではない。

「はい、まだ痛いです。・・・痛い気がします。と、ちゃんと本当のところも付け加えてはある。

ただ、先生に聞こえなかっただけだ。

前回、虫歯の神経を取ったのだが、下手すると今回からあの痛い「掃除」をしようと言っていたのだ。

何をしているのかはわからないが、神経を取った部分をクリクリ掃除をするのだ。これがムチャクチャ痛い。

前回はこのあまりの痛みに毎回途中で止めてもらい、結果、治療に1年近くかかってしまったのだ。

その事は先生も良く覚えている。

だから私があの手この手で先延ばしにしようとするだろう事は予想できていたようで、「何としても少しでも先に進む。」と断固として言った。

しかしだ。

私だってそのくらいの事は予想できていた。先の先を行く。

そこで「まだ痛いような気がする。」と言って、掃除を次回に延期させようと思ったのだ。

「え!?まだ痛い!?おかしいなぁ。」

予想外のリアクションであった。

おかしい、おかしい、と口の中を覗き込んだ。

結局掃除の延期などなかったし、やはり前回同様痛いので「ヒハイヒハイ(泣)」と踊った。

治療が終わり先生が席を外したところを見計らって、助手をしている奥さんにこっそり聞いた。

「これでどのくらい終わったんでしょうか。」

「そうですねぇ・・・。今日は、まだ痛むって言うから原因を探してたみたいで、それでちょっと痛かったかもしれないですね。」

なに?!

そう言えば「原因をつきとめないと・・・。」とかブツブツ言ってたな。

しくった、裏目に出たか。

受付にいた先生に「今日はどれぐらい進めましたか??」としつこく聞いてみたら、結構進んだらしい。

らしいが、

「まだ痛むっていうのが気になるんだよね。もしかしたらまだ取りきれてない神経があるのかもしれない。」と真面目な顔をして言った。

やばい・・・。

やない・・・。

もういいって、忘れて下さいよ(汗)

「あの、先週は結構痛かったんで、何かまだ痛そうで、そんな気がして、だからあの、考えすぎかもしれないんですが。」

慌てて付け加えたが、

「うーん、痛いはずないんだよね。どうしてなんだろう。」忘れていいんですって。

「だからあんまり右で噛まないようにしてたから、その、噛むと痛い気がしてただけかもしれないし・・・。」

「う~ん・・・。」先生は真剣だ。

嘘はいけない。

場合によるが、これはいけないケースである。

こんな人間だが、私はこれでも嘘は嫌いだ。

一応ためらいはあった。

先生は気付いてないのかもしれないが、そんな先生を見て、心が痛むのは自分である。

結局嘘は自分を傷つけるのだ。

ごめんなさい。

次回からはちゃんと治療に向かい合います(泣)