さて、突然手に入った休日である。
ぽ子の立てた予定はこうだ。
朝のうち晩ご飯の支度だけして、家を出る。
渋谷でラーメン食べて東急ハンズとロフト、あとはブラブラと気が向いたら適当な店に入ってダラダラショッピングをし、新宿で買いたかったものを買って帰る。
女は買い物魔である。
長い事そのことに気づかなかったので、ダンナには苦労をかけた。
そして自分自身も、結構気を使って買い物をしていた事にも気づいたのだった。
だったらひとりで行けばいいんじゃん。
至極、自然な回答である。これで皆ハッピーである。
そう思ったら早くひとりでショッピングに行きたくなった。
ロフトとハンズが近くにあるところ。渋谷ならオシャレな街だし、おっ、ラーメン「凪」もあるじゃんか。
そんな感じで渋谷に決定。
ところが昨日も書いたが、私はこのようにひとりの休日の計画を立てても、そのように行動したためしがただの一度もない。
多くが前日の飲みすぎによるものだが、今回は気合を入れて飲まずに寝た。
寝不足が続いたからグッスリ寝れるだろうと思ったのだ。
しかし、甘かった。
「寝入りが悪い」なんて生易しいものではなく、「寝た気がしない」である。
ウトウトして寝れそうだと思うと、すぐに目が覚める繰り返しであった。
しかし寝覚めはスッキリしていた。
寝覚めというか、「だって寝てないもん」の感覚だ。
なので朝ごはんの支度をしながら、今日はどうするか悩んでしまった。
「今はいいけど、きっと後ですぐに眠くなるぞ・・・。」
「渋谷で眠くなったらどうするんだ・・・?」
「でも今日を逃したら・・・。」
今日を逃しても実は来週があるのだが、雨なんか降られたら後悔してもしきれない。
とりあえず朝ごはんを作ったら布団に入ったが、
「今ならまだ眠くない」
「行動するなら今が最後のチャンスだ」
「ポイント・オブ・ノー・リターン」
よっしゃ!!と布団をはねのけた。
ちなみにケミストリーの「ポイント・オブ・ノー・リターン」をMDに録ってあるが、カタカナの曲名表示を見るとどうも「ノータリーン」に見えてしまうのであった。
コーヒーを飲んだら充電はマックス、洗濯したらもう時間はなくなり、9時半に家を出た。
コーヒーパワーで渋谷まで目はギラギラ、ハイテンションでクリスマスの計画を練っていた。
しかし渋谷・・・である。
ラーメン屋は東口から出るらしい。
しかし電車を降りて、見渡しても「東口」という案内はない。恐らく出口がそこから離れているのだろう。
私は「ハチ公口」に向かった。
またハチ公(笑)
ここから始めないとわからないのだ。
目的地がどこであろうと、まずハチ公ありき、である。
比較的馴染みのあるハチ公口から出ると、携帯を取り出す。
店までのマップを保存しておいたのだ。
しかし・・・。
う~?
このマップのどっちが上なんだ?つーか上ってなに?
このマップのどこが今自分のいるところなんだ??
顔をあげると目の前にちょうど地図があった。
しかし実はこの地図、携帯のマップと上下が逆であった。
それに気づくのに数分、気づいたところでどうしたらいいかわからず数分。
私の希望は、駅の地図にラーメン屋を表示してもらうか、携帯のマップに現在地を表示してもらうかである。
すぐそこに交番があったが、フフン、面白そうだ、何としても自力で辿り着いてやる。
早く着いてしまったので時間はタップリある。
携帯をひっくり返して見れば、もうちょっと早く何とかなったと思うのだが、駅前の地図を見ながら携帯をひっくり返してみるのはちょっと勇気がいる。
それは交番に行く前の最終手段にしたい。
私はふたつの地図を交互に見比べて、じっくり考えた。
もし金持ちになったらどうやって暮らそうか、などという空想は得意で、かなり細部にわたって表現することができるが、
図形や数字はダメだ。
昨日、ザ・空想シリーズ「飲み屋を開店させるの巻」をダンナに洗いざらい話したが、彼は辛抱強く聞いた後に「・・・その想像力もひとつの才能だよね・・・。」と言った。
仮にそうだとしても、渋谷のラーメン屋に行くことすらできないのに、いらん才能である。
時間をかけて、やっと出口が逆であったことに気づいた。
後は東口の地図と携帯のマップを見ながら、迷わずに店まで辿り着くことができた。
長いので、次回に続く。