「元気ですよ~EE:AE5BE」
元気そうである。
週に一度、生存確認を兼ねて父に電話をしているが、「どうしてますか~??」と聞くと照れ臭そうに笑ってから、こう答えるのが常だ。
話す内容は、いつも一緒だ。食べるもの、健康、時々コロナ。
太ってきたと言うので糖質カットを勧めているのだが、やっとイモ類が減ってきたところだ。次は米ガンバレ。
「いや最近はさ、7時とか8時に目が覚めて、まずお茶を飲むんだよ。それでな、こう鍋に色々肉とか野菜を入れてな。」
それを何度かに分けて食べるそうだ。毎回聞いている。
「でな、そうやって鍋作ってたりするとな、・・・」
?
「泣けてくるんだよ、オレ。」
??
寂しいのか?情けないのか?それとも単なる比喩か??いまひとつ涙の訳が分からず言葉を返せないでいると、
「もっとお母さんに優しくしてやれば良かったなぁーってな!」
そう言って誤魔化すようにガハハと笑った。
まぁ相当酷かったですからね。これぐらいの報いはあって然るべきかもしれない。しかしどんなに優しくしてあげていたとしても、この人は泣くんだろうな。
結局のところ、母のことが好きだったのだろう。ただとんでもなく不器用で、単細胞なのである。
父が母を想うところを見るのは、悪くない。ちょっと遅かったけど。
「お前も、本当にアレだ、体に気を付けてな!」私達の方は、間に合ったようである。いがみ合っていた日々が嘘のようだ。
次に泣くのは私の番か。