人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

涙鍋

「元気ですよ~EE:AE5BE

元気そうである。

週に一度、生存確認を兼ねて父に電話をしているが、「どうしてますか~??」と聞くと照れ臭そうに笑ってから、こう答えるのが常だ。

話す内容は、いつも一緒だ。食べるもの、健康、時々コロナ。

太ってきたと言うので糖質カットを勧めているのだが、やっとイモ類が減ってきたところだ。次は米ガンバレ。

「いや最近はさ、7時とか8時に目が覚めて、まずお茶を飲むんだよ。それでな、こう鍋に色々肉とか野菜を入れてな。」

それを何度かに分けて食べるそうだ。毎回聞いている。

「でな、そうやって鍋作ってたりするとな、・・・」

「泣けてくるんだよ、オレ。」

??

寂しいのか?情けないのか?それとも単なる比喩か??いまひとつ涙の訳が分からず言葉を返せないでいると、

「もっとお母さんに優しくしてやれば良かったなぁーってな!」

そう言って誤魔化すようにガハハと笑った。

まぁ相当酷かったですからね。これぐらいの報いはあって然るべきかもしれない。しかしどんなに優しくしてあげていたとしても、この人は泣くんだろうな。

結局のところ、母のことが好きだったのだろう。ただとんでもなく不器用で、単細胞なのである。

父が母を想うところを見るのは、悪くない。ちょっと遅かったけど。

「お前も、本当にアレだ、体に気を付けてな!」私達の方は、間に合ったようである。いがみ合っていた日々が嘘のようだ。

次に泣くのは私の番か。