自転車で、いつもよりちょっと遠い場所まで買い物に行くことにしたのだ。
友人宅に寄る予定だったので、久しぶりに部屋着以外の服を着た。注・この頃は買い物にも部屋着で出ている。
ワインレッドのジーンズ。メンズなので、ゆったりとした履き心地のもの。・・・であったはずだ。
「む。」
異変を感じたのは、ズボンをあげた時点からである。そしてボタンをとめた時、ファスナーを上げた時。
・・・なに、この抵抗感EE:AEB64
決定打は、自転車に乗ってからだ。パッツンパッツンで動きにくいのである。
太ったのは分かっていたつもりだったが、それは数字の上だけだったということだ。ユルユルの部屋着ばかり着ていたので、現実味がなかった。
体重は、人生最重に再び近づこうとしている。それでも、どこかで何とかなるような気がしていた。
そんなことは起こらないことを、このジーンズは教えてくれたのである。
物理学に、「加速度運動」というものがあるらしい。
例えばボールが坂道を下る速度は、進むほど速くなるという現象だ。なんでそんな言葉を知っているかというと、たまたまついていたテレビの講座でやっていたからである。分かりやすく説明していたのでつい学んでしまったが、私にそんな知識をもたらしたNHKの高校講座の偉大さよ。
ところでこの加速度運動、体重増加にも言えることなのではないかと本気で思っている。
真面目に、太れば太るほどデブが加速していくのである。
油断しているうちが華だ。そのうち一刻の猶予もなくなってくる。そしてその先にあるのは、完全な諦めだ。
あぁ諦められたら、どんなに楽になることだろう。もう「どうしよう」とか「ヤバい」とか自己嫌悪とか、制御とか、忍耐とか、そんなものは一切なくして飽食の限りを尽くしたい。
脂ぎったラーメンを汁まで食べ尽くしたい。
脂身のたっぷりついたステーキを300g食べたい。
豚バラチャーシューを分厚く切って食べたい。
中華街で売っているような大きな肉まんが食べたい。
スイーツなど興味のないようなふりをしていたが、本当はそんな猶予はないから我慢していたのだ、ケーキ屋さんのケーキが食べたい。中身のたっぷり入ったロールケーキが食べたい。
こんなんでも、私は我慢をしていたのか。そして、この程度の我慢では、太り続けるというのか。そしてそれは加速し続けるというのか。
正直に言うが、再開したビリーズブートキャンプはもう2週間もサボッていた。一度嫌気がさすと、とことん逃げたくなるものだ。そして一度逃げるとますます逃げたくなるものである。
我慢を手放して楽になり、さらに太るか。
ここで踏みとどまって努力し、痩せるか。
1ヶ月後に経過を報告する。
こうでもしないと、もう戻れる気がしない。