車に積んだキャンプの道具を、やっと片づけることにしたのだ。
1ヶ月間、車に載ってたよ(笑)
準備は「バカンス」という目的があるから頑張れたけど、後片付けは「残骸」だ、気の重いことよ・・・。
車の後部座席から荷物を下ろし、2階の音楽室のグルニエ(屋根裏)まで運ぶ。
テーブル、コンロ、テントなど、大きくてかさばるものから、鍋一式、ランタン、給水ポットなど細かいものまで。何往復することになるのか。
考えると萎えてしまう。萎えると動きが止まってしまうので、私は時間の目標を決めて一気に片づけることにした。
こうなると、早い。
不思議なもので、制限時間を決めると、より早い時間に終わらせてやりたくなるのだ。
仕事でも、量が多い方がやりがいがあった。
スイッチさえ入ってしまえば、もう苦ではない。もはやゲームだ。さぁぽ子さん、どれだけ早くできるかな??
重い荷物は、「気合」だ。
「重い(泣)」とか「もうダメ( ;∀;)」などと考えない。
よっ、ほっ、そらそらっ、という感じに勢いをつけて運んでいく。
両手いっぱいに荷物を抱え、それそれ、と音楽室に入った時に、不意にオナラが出た。
人間である、屁ぐらい出る。誰だって絶対にこいているのだ。わざと出さなきゃいいだけの話、これは不可抗力、しかも誰も聞いていない。
気にかけず運んでいたのが、その「プー」という間抜けな音があまりにも今の状況に場違いで、可笑しくなってきた。
こんなに必死になって荷物を運んでいるというのに、なんて空気の読めない音色。
「プー」とも「ムー」ともつかぬ、真っ当なオナラの音である。
いっそブオンぐらい言っててくれれば屁の主張も受け入れてやるが、この屁漏れ的な音。
私は荷物を持ったまま、爆笑した。
笑ってみると、その光景がまたバカバカしくてさらに可笑しくなってくる。
世界中の誰一人、今私がキャンプの後片付けという行事に戦いを挑んでおきながら、屁が出て笑っているということを知っている者はいないのだ。
たったひとりで私はこの事実と対峙しているのである。
そう思うとなお可笑しくて、涙を流して笑った。
その間も、歩みを止めることはない。
私はてめーの屁こきをひとりで笑いながら、荷物を運んでいた。
客観的に見たら、どんなものなのか。
それがまた更なる笑いを誘う。
こうして私はひとりでゲラゲラ笑いながら、キャンプの荷物を片づけたのだ。
もしかしたら今この瞬間も、人知れず誰かが屁をこいているかもしれない。
そう思うと、何だかみんな、愛おしくなってきたのだ。
生きている。