人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

涙の昼下がり

記憶にある限りでは、こんなことは初めてのことである。驚いた。

泣きながら目が覚めたのである。

それもホロホロと涙を流していただけではなく、ヒックヒックと泣きじゃくっていた。

目が覚めて「あれ??」という感じだ。

昼ご飯を食べたら、途端に眠くなってしまったのだ。

しばらくはソファに座ったままそれに抗っていたが、ソファに座っているうちは勝てっこない(笑)

やがて私は、眠りに吸い込まれていった。

で、泣いて目が覚めたのである。泣きじゃくった刺激で目覚めたのかもしれない。

なんで泣いてる??夢を思い返してみる。

田舎だ。

見渡す限り田んぼの田舎の風景の中、「昔はここにもこ~んなに大きなアメンボとかたくさんいたんじゃが。」という年寄りの声だけが聞こえてくる。

確かに、きれいな田んぼには、生き物の気配がなかった。

そこには小さな男の子と女の子の姉弟がいた。見知らぬ子である。

女の子は泣いていた。グスングスンと静かに泣いていた。

男の子は悲しみとどう対峙していいのか分からないのか、怒ったような表情で佇んでいた。

それを見て、私はこの子らの祖父が死んだことを知るのである。それでこの子達は、この田舎に呼ばれて来たのだった。

女の子はグズグズと泣き続けている。

するとその悲しみが、自分のものであるかのように突然シンクロしたのだ。

なぜか分からないが私もとってもとっても悲しくなり、泣き出してしまった。

女の子は「ごめんなさい、泣かないで。」と言ってそばにやってきた。

そして私は目が覚めたのである。

これを思い出したとたんにまた悲しみがピタッとシンクロし、ヒックヒックと勝手に泣き出してしまう。

何よこれ、こんな子たち知らんし、祖父なんか見たこともないっつうの。

私にとって全然悲しい要素などないのに、この悲しみだけは本物なのである。

いつか昔に大切なものをなくした時の、あの締め付けるような痛み。

しかし、夢とは全く接点がない。

不思議なできごとだった。

完全に目が覚めてしまったら、もういくら夢を思い出したところで悲しくもなんともなくなっていた。

夢に感情をコントロールされていた感じである。

そういえば最近はめっきりなくなったが、一時期、笑って目が覚めるということがあった。

「フフ」とかいって、目が覚めるのである。

こちらはなぜか、夢を思い出せたことがない。

なんで笑わなくなったんだろう。

現実ではあの頃より今の生活の方が安定しているように思うが。

ということで、私は夢と現実に何らかの関係性があるとは考えていない。

夢診断によると、泣く夢はこの後に何かいいことが起こる前触れというが、信じられないのがつまらんところである。