人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

夢と希望と拷問と

この家に越して来てから、十数年が経った。

もう新築ではない。

十数年だ。

家電込みで、色んなものが次々と不具合を見せるようになった。

エアコンが2台。それも1台はリビングのものだったので、観念してこれは買い替えることにしたのだ。今日これから来てくれる。

もう1台は保留だ。無理。我慢。

そしたら今度は、水道だ。

キッチンの水道のホースに亀裂か何かが入ったようで、水漏れするようになってしまった。

ジャバジャバいうほど漏れるので、床が水浸しだ。

これも急を要する。

すぐに来てもらった。

昨日書いたように、エアコン交換に備えて掃除をしなくてはならないところ、脱線してゲームのコントローラーとルンバの裏とゴミ箱と猫の爪とぎが綺麗になっただけの部屋であった。

急を要するのは掃除も同様だが、もう投げた。

「友人の紹介のエアコン屋」に比べれば、水道の修理人など赤の他人だ。

散らかった部屋を見て笑うがいい。汚れた部屋を見て蔑むがいい。

温存したやる気は、翌日のエアコン向けの掃除にとっておく。

とは言っても、水道回りは片づけるなりどかすなりして作業をしやすいようにしなくてはならない。

流しのものをどかし、流しの下の収納庫を空にしなくては。

収納庫の手前には、大きな土鍋、タジン鍋があった。

これをまずどかして、その奥に頭を突っ込む。

ああEE:AE4E6いっぱいEE:AE4E6EE:AE4E6

果実酒の瓶がいっぱいだよEE:AEB64

さしあたってこれらのものは、脱衣室に移すことにした。

果実酒、忘れてたよそんな存在。

結構最近もカボスかなんか漬けたばかりだが、作るだけである。それも最初の漬ける段階で終わる。

やっと思い出した頃には果実や皮を漬け過ぎていて、エグみが出ているのだ。もはやこの失敗、しなかったことがないと言っても言い過ぎではない。

最初に作ったっきり、忘れてしまうのがデフォだ。

今回もひとつ、漬けっぱなしのものを見つけた。

みかんだ。

みかんってことは、去年のみかんねEE:AEB64

他の瓶はもうその存在すら忘れられていたので、どれも中途半端な量になっていた。

もはや得体も知れぬ。

しかし果実酒は、時間が経つほどに美味しくなるというじゃないか。

私は水道屋が帰るのを心待ちにし、珍しく「すぐにしまう」という作業に着手した。

しまいながら、味見をすることにしたのである。

まずはみかんの果実を出した。そしてそれを飲んでみる。

・・・・・・・・・。

飲めなくはないが、全く美味しくない。このどこがみかんなのか。

果実酒の果実を抜かないというのは、そんなにいけないことなのか。

単純に考えればそれだけ果実味が出そうなものだが、なぜにこんなにエグい?

まぁいい。このあとの他のヤツが美味しくなってれば、数年後にこれも美味しくなっているという希望が出てくる。

みかん酒(そのうちみかん酒であったことも分からなくなってしまうことだろう)をしまうと、次の瓶を開けた。

ハッキリ言って、みかん酒以外はどれも一緒だ。見た目は全く同じ。

結果から言うと、味もどれもほとんど同じであった。分かったのは柑橘系であろう、ということだけである。

そしてそのどれも、美味しくなかった。

中途半端に甘く、酒臭く、果実の風味が感じられない。

夢も希望もないよEE:AEB67捨てるか、拷問のようにこれを飲むしかない。そして私は捨てることができないので、拷問のように飲むことになるのだろう。

夢も希望もありゃしないよ。

しかしそんな中、実はたったひとつ、希望があったのだ。

一週間ほど前に、とってもとっても大きくて新鮮な谷中生姜をいただき、香りが良かったのでこれを漬けてあったのだ。

これならまだ若い。夢も希望もある。

ちゃんとこまめに味見をして、然るべき時期に生姜を抜けば、美味しい生姜酒になるはずである。

断言する。

果実酒づくりで一番重要なのは、味見だ。

早い段階ならいくらでも修正できる。

どれ、ちょっと飲んでみるかの、生姜酒EE:AEACD