生活は相変わらずハードであった。
9時からコンビニのバイトへ行き、昼休みに家に帰ってコンビニで買った「おぐらホイップ」を食べ、午後の4時まで仕事をしたら家に戻り、その間に友達がやってくる。
その後、慌しく茗荷谷のデザイン学校へ向かい、講義を受けて作品を仕上げる。
だいたい私は時間内に終わらず、10時頃に書きかけのものを持ち帰る羽目になっていた。
その続きは、コンビニのバイトが終わってからの短い時間か、家に帰ってからである。
学校は退屈だった。
そこに来る人はみんな、就職を見据えて技術を身につけるために来ており、私とは決定的に熱意が違う。
真面目な人ばっかりだった。クソ真面目。
絵を描くのは好きだったから、作品を書いている間だけは楽しかった。
それでもそこには「目的」というものがなく、単なるお絵かきをしに通うのは、決して楽しいとは言い難いものであった。
たびたび私は授業を抜け出したり、まるまるサボッたりもした。
そんな中で、ひとりだけ友人ができた。
2、3、年上の女性で「マキさん」といい、やはりこんな学校も周りの連中もつまらない、とボヤいていたのだ。
時には彼女と授業をサボッて、得体の知れない他の生徒の悪口など言って過ごしたりした。
この学校に一度、地元の友達を連れて行ってしまったことがあった。
ノンビリした風潮の学校で、先生はおじいちゃんだ。ひとりぐらい紛れ込んでも絶対に分からないと思ったのである。
簡単にバレた(笑)
製作中の作品を見て回っていた先生は、私の友達を見て「はて、きみは誰だったっけ?」と言った。
「私の友達ですEE:AE471」と返すと「おやおや。」とだけ言って済んでしまった。
ホント、のんびりしてるよなぁと思ったものだが、今考えると、私のような落ちこぼれはもはや眼中になかったのかもしれない。