人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

その異変

私がその異変に気づいたのは、映画も中盤を過ぎたあたりだろうか。

我が家では宅配レンタルDVDサービスを利用していて、「返せば次が来る」という繰り返しになっている。

「次」というのは事前に予約リストを作れるようになっており、気になる映画があれば、どんどんそこに追加していたのだ。

その結果、観るほうが追いつかず、リストには現在52件のタイトルが並んでいる状態である。

これは、コンスタントに観られる前提で、1年と1週分だ(笑)

特に忙しくない時期でも、月に4枚のノルマを果たせることは稀である。

そこへきてダンナの繁忙期が入ると、どうしても観る方が滞ってしまうのであった。

それでも映画は観たいし、宅配の方が楽なので、ズルズルと7年も経ってしまった。その甲斐あって、契約してからこれまでに観た映画の本数は200を超えた。

結果的には悪くないのではないかと思う。

そんな映画鑑賞も、ダンナの繁忙期でしばらく中断されていたのだ。

やっと落ち着いてきてまずしばらく飲んだくれた後、どれ、そろそろ映画鑑賞を再開しようということになった。

映画を観るタイミングというのは、意外と限られている。

飲みながらはダメだ。ストーリーの流れが蓄積されず、遭難する。

食後もダメ。寝てしまう。

寝起きだと、寝るか寝ないか五分五分。

一番いいのは平日の夜、晩御飯を食べながら、である。

とは言っても焼肉食べながら、肉にナイフを入れながら、などというのでは映画に集中できない。

なのでちょっとした映画鑑賞気分を味わうようにハンバーガーを買ってきたり、手元をあまり見ないでも食べられる丼ものにしたりと工夫が必要だ。

この日はダンナがものすごく早く帰ってきたので、食事を済ませてから観ることになったのだ。

飲み物の入ったペットボトルを1本と扇風機、連れて行けとねだるエルを伴って音楽室に入る。

窓を閉め、電気を消し、プレイヤーとプロジェクターの電源を入れる。

正面のスクリーンに「トレイが開いています」という文字が表示されると、「トイレがあいています。」と読み上げる習慣。

もはや誰もそんな冗談に反応しない中、ディスクが入れられ、映画が始まる。

私がその異変に気づいたのは、映画も中盤を過ぎたあたりだろうか。

ジンワリとした不快感である。

それは徐々に起こっていたのだろう、しばらくは気づかなかったようだが、一度気づいてしまうと非常に不快である。

・・・暑い。

ごく最近、同じ拡大文字を使った気がするが、暑い。とてつもなく暑い。

音が外に響きそうなので、窓は締め切りだ。

そして実は、この部屋のエアコンは壊れていた。

寒いうちはいろいろ着込んだりしてしのいでいたが、暑さはもう脱衣と風力に頼るしかない。

私達は映画を見ている間は、ほとんど言葉を交わすことがない。

ダンナは平気なのだろうか?

いや、絶対に平気じゃないはずだ。私よりもずっと暑がりなのである。

きっと相当我慢しているはずだ。やがて何らかの動きがあるだろう。

さぁこの状況の中、どんな解決策を見せてくれるのかダンナよ。

案の定、ダンナは「ちょっと。」と言ってディスクを止めた。

そして黙って部屋を出て、戻ってきた。

ダンナの解決策は、氷の一杯入った麦茶と、保冷剤であった(笑)

なんか凄いのを期待したが、そうだよねぇ、やっぱりもうそういう原始的な冷やし方しかできないよねEE:AE5B1

保冷剤はあっという間に溶けてぬるくなったが、私達は口をつぐんだまま最後まで映画を観た。

暑かった。

そして悟った。

これは早急にエアコンを修理しなくてはならない。

ということは、

早急に音楽室を片付けなくてはならない、ということでもある。

しかしこの暑さで、片づけをすべき人間が動けないのである。順序から言うと、エアコンから直ってくれないと、次に進めないということだ。

とはいえ現状、足の踏み場もないだけでなく、エアコンの真下に電子ドラムが置いてあるというジャングルで、修理作業はほぼ不可能といってもいいだろう。

死ぬ気で部屋を片付けるか、この夏この部屋を封印するか・・・。

死ぬ気で片付けなきゃなんないんだろうなEE:AEB64

ミイラになりそう。