兄嫁はんが母にプレゼントした本が、回ってきたのだ。
昔アフガニスタンで働いていた事のある母に、良かった頃のアフガニスタンを舞台にしたこの本をプレゼントとはイカしている。
私はといえば、母がそんなところで働いていた事は忘れかけていた。
タイトルからラブストーリーかと思ったのだが、これは、裕福な家に育つ少年アミールとその家の召使いハッサンとの切ない友情の物語であった。
母親は自分が生まれた時に亡くしてしまったが、恵まれた環境に育ったアミール。
ひとつ年下のハッサンとは、兄弟のように仲良く過ごしていた。
子供らしく純真なハッサンと、子供ゆえに持つ自らのずるさと戦うアミール。
聡明なハッサンを父・ババは実子アミールと同じように可愛がったが、それがアミールを苦しめるのである。
その息苦しさからアミールは、一生消せない罪を犯すのだ。
小さな罪だ。
しかしその罪はハッサンとアミールには大き過ぎた・・・。
アミールのしたことは罪深いが、子供らしい間違いでもある。
精一杯悩んで戦って、子供なりに出した最善の策だったのだ。
主人公アミールは卑怯で弱い人間だが、誰もが心の中に持っている弱さである。
対照的に、どこまでも純真なハッサンが、涙を誘う。
これでもか、という程に様々な事が起こるが、最後の贖罪のチャンスをアミールは生かすのか、また逃げるのか。
感動の長編だ。
ぽ子のオススメ度 ★★★★★
「君のためなら千回でも・上巻・下巻」
カーレド・ホッセイニ著
ハヤカワepi文庫 ¥693