寝苦しい夜だった。
ひとえに飲まずに寝たのが原因だが、シラフで布団に入ると、眠るのにはタイミングが必要になってくる。
一度チャンスを逃がすと、睡魔もとことん逃がしてしまうのである。
そもそも布団に入ったのが少々遅かったが、飲まないで寝れば翌日の寝不足もさほどつらくはないものだ。
気にすれば寝るのにプレッシャーがかかるので、私は「まぁだ夜は長いですわよ」と暗示をかけるために、ベッドで読書をした。
昨夜の読書は、カメラのカタログである。
目下私が一番欲しい物は一眼レフなのだが、いかんせん知識がないので、いきなりカタログを見ても専門用語が多くて何が何だか分からない。
しかしそれはいい睡眠導入剤になった。
あかん、もう分かる言葉も分からない、という状態になってやっと、私はカタログを脇に置いた。
「寝れそう・・・。」と考えそうになったが、それすらも禁句だ。
自然に、自然に眠りに入るのだ。
心配しないで、ペンタックスのことでも考えていれば良い。
我ながらつくづく面倒臭いヤツだと思うが、この「自然に、自然に」の暗示がかえって不自然で、私は緊張して眠れなくなった。
しばらくはキヤノン、ペンタックス、ニコン、キヤノン、ペンタックス、ニコン、とまじないのように唱えていたが、やがて諦めた。
眠くないのは寝なくて良いからである。←ここに落ち着くのは最終段階であり、もう夜明けを見る覚悟ができたことを意味している。
そうなれば時間、使いたい放題だ。
何しようか。
そろそろ本格的な読書を始めたいと考えてはいたが、やはり私はカメラのカタログを取り出した。
あぁ、布団で寝ながらネットやりたい。
今ここにあの四角い箱さえあれば、朝までに欲しい機種が決まるだろうに。
あのマイケルのバカ騒がしい曲にも、今朝は全く気付かなかった。
何度もスヌーズを止めていたようだったから5分おきに気がついていたのかもしれなかったが、とにかくムチャクチャ眠くて、携帯の目覚ましでも時計のアラームでも起きれず、寝坊した。
寝る気満々で慌てて起きたが、ダンナにご飯を出したら紙類の回収の日だったことを思い出した。
今日を逃がすと2週間後である。
と言うか、前回逃したので1ヵ月分になってしまう。
ダンボールを縛ったり雑誌をまとめたりしていうるちに、目は覚めた。
これが飲んだ朝と飲まない朝の違いである。
スッキリしていたので私は、昨日の家事の続きに取りかかることにしたのだが、出がけにダンナが気になることを言い残していた。
「ダイの片目の色がおかしい。」
確かに見てみると、右目が少し濁っている。
こんな時にはネットドクター。
それによると、白内障の恐れがある、酷ければ失明だ。
ひょえ~~~!!寝ている場合ではない。
私はあわよくばの二度寝を諦めて、ダイを病院へ連れて行った。
大したことがなかったので経過は省くが、ゴミかケガによる結膜炎とのことだった。
安心したら、眠くなった。
猛烈に眠くなった。
帰りの車で二度寝を決意、昼までの1時間をグッスリ眠った。
仕事に行ったら、今日に限って座り仕事であった。
パチパチとひたすらニッパーでバリを切るだけである。
以前良くこの仕事をしていた時には、2時前後に猛烈な睡魔が来た。
その度に「敵は疲労ではない、睡魔である byぽ子」などと格言じみた言葉が浮かんだりしたが、これはヤバい予感である。
しかし「キヤノンペンタックスニコン」のまじないが効いて、最後まで全く眠くなることはなかった。
そうかこれは、ウキウキして目が覚めるおなじないだったのだ。
どうりで昨日は眠れなかった訳だ。
さて、このようにまた恋の予感である。
しかしながら、本妻はリッ子であることは忘れてはいない。
適材適所、私にも現地妻が必要なのである。
うわー、なんか凄いセリフだな。
浮気はいけませんよ、これはあくまでも趣味の話(笑)
今のところペンタックスが一番チャーミングだが、本妻ならぬダンナが難色を示している。
まだまだ四角い箱で調べなくてはならないことが山積みだ。