「俺は本当に鬼だよ・・・。」
ダンナは片手に空になった哺乳瓶を持ち、リビングに入ってくるなりそう言った。
みんな辛いのだ。
子猫を一人で置き去りにする事が。
せめて狭いケージから出してやりたい、と言い、寝室内を自由に動き回れるようにした。
もうすぐここに来てから1ヶ月が経つ。
離乳食も少しずつ食べるようになり、トイレの場所も覚えつつある。
這うように歩いていたのが、ピョンピョンと跳ぶように走り回るようになった。
なぜ写真が少ないかと言うと、動き回って撮れないからである。
「ただいま」と言って寝室のドアを開けると、正面の猫ハウスからトトトと真っ直ぐに走ってくる。
ヒョイと摘み上げて、ベッドに横たわる。
胸の上に乗せてつっついてやると、鋭い爪をむいて飛び掛ってくるのだが、もうこれはNGである。
この子が一緒に暮らしていくのは私たちではない。
エルのように手でじゃらすクセをつける訳にはいかないのだ。
思えばエルには何一つ、しつけのようなことはしなかった。
今でも手に噛み付いたり引っ掻いたりしているので、私達はしょっちゅう血を流している。
しかしそれを良しとしているのだ、だから問題ないのだが、よそ様に行くとなると話は別だ。
きちんとしつけをしなくてはなるまい。
それからは猫のおもちゃを持ってきて、それで遊ばせるようにしている。
どうしても手の方に食いついてくるが、根気良くやっていかなくてはならない。
「他人の子」と思うのは悲しいが、幸せになってもらうために、いい子に育てなくてはいけないのだ。
遊び疲れると、いつの間に私も子猫も寝ている。
可愛い。
幸せだ。
「俺は本当に鬼だよ・・・。」
そしてみんながこの子を大切に思っていることが分かるとき、私はもう一度幸せな気持ちになる。
子猫は幸せを配る天使EE:AEAAB
画質を落として連写で撮影。
それでもいい写真は少ない。
こちらは高画質で撮れた奇跡の1枚。