風呂に入ってきた。
もうずいぶん前にダンナから「シャンプーがないんだけど・・・。」と言われていた。
私と娘ぶー子はダンナとは別のものを使っていたので、つい忘れてしまうのである。
やっと買った。
詰め替え用のそれを持って、風呂場に入る。
どれ、とそれを棚に置くと、そこにはボディシャンプーの袋の先客があった。
こちらも切れていたので、昨日風呂場に入れておいたのだ。
詰め替えるのが面倒で袋のまま置いておいたが、空になっているところをみるとぶー子が入れておいてくれたようだ。
じゃ、これが先だ。
私は普段、液状のボディシャンプーを使わずお気に入りのLUSHの石鹸を使っているのだが、こうなると話は別だ。
空のボディシャンプーの袋にお湯を入れ、ガシガシと振る。
ここでもケチぽ子だ。カスだって使い切るぞ。
ジョ、とボディブラシ(長年使って毛は短く磨り減り、ずいぶん抜けてスカスカだ)にその液体をかけると、思いがけずサラッとした透明の湯が出てきた。
おお、これは、すでに誰かの使用済み、ダンナもLUSHだからぶー子の素晴らしい行いである。
なぜか満足して、いつも通りLUSHの石鹸をつかむ。
今回は水色で、フレッシュな香りのものだ。
これをハゲスカのボディブラシここすりつけ、体を洗う。
香り高いのがLUSHの石鹸の特徴だが、香りとは癒しの効果があるんだなとつくづく思う瞬間である。
続いて頭を洗おうと再び棚を見て思い出した。
つい先日まではシャンプーとリンスの詰め替え用の袋がひとつずつここにあったのだが、そうだった、あれもやっと使い切ったのだった。
さっきのようにお湯を入れて振って、詰め替えてから3回は使ったと思う。
頭を洗ってタオルで髪を包むと、ここでダンナのシャンプーを容器に入れる事にした。
無印良品で買った透明の洒落た容器だが、これも長年使っているので色は曇り、ところどころ茶色くなってしまっている。
それを手にとって見ると、あれ?まだ入っている。
下から3センチほどだが、「なくなった」と言ったのは1ヶ月以上前のはずだ。
おかしいと思ったが、私が忘れっぽいのを見込んでものすごく早く報告したのかもしれない。
フタを取り、詰め替え用のシャンプーを入れ・・・ようと思ったのだが、やはりちょっと不安になって、中身を手に出してみた。
・・・ただの水であった。
シャンプーも透明なので気がつかなかったが、この容器も極限までお湯でのばして使い切られたのである。
感動。
私は水を捨てて容器を洗い、新しいシャンプーを入れておいた。
前にいた職場で20代の女の子に、「シャンプーとかなくなったらお湯入れて使いますか?」と聞かれた事がある。
それは「もちろん使いますよね?」という意味かと思ったが逆であった。
私の返事を聞くと「えええーーー!」ととても驚いていたが、こっちがえええーー!である。
みんなやらないのか?
実家では母は、ケチャップがなくなればそこにお湯を入れてすすいで煮物に使っていたし、マヨネーズがなくなれば上部を切り落とし、マカロニなんかを入れてかき混ぜて使い切っていた。
私はさすがにそこまではやらないが、マヨネーズだったらひっくり返してバンバン叩き、ブーブー屁をこくまで使ってからフタの部分とキスをする。
レトルトものも、皿に空けたらチューぐらいはする。
愛が、愛が溢れているのである、我が家には。
ダンナのシャンプーを容器に入れると、空いた袋はそのまま棚に立てておいた。
果たしてダンナはこれに気付いてどうするであろうか。