人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

シャンプー、マヨネーズ、かぶとがに。

早く寝ようと昨日も思ってたのに、やはり予定通り飲み過ぎた。

毎晩この繰り返しだ。

今夜もそうなるだろう。

午前中は判で押したようないつものコースだった。

西川口へ行く。エルに会う。

元気そうだったのでついいじくり回しすぎて、またクタクタにしてしまった。

看護師さんが呆れて笑いながら、酸素を上げてくれた。

仕事に行く。

家に帰る。

休憩がてらPCに向かう。

ここまでもいつもと同じだ。

晩ご飯の支度にとりかかり、失敗に気付いた。

冷蔵庫の材料を消費するような献立にしたのだが、野菜を千切りにするメニューが2つもあったのだ。かたや大根、かたや人参。

ヒッ。もう7時半なのに。

ダンナが帰って来る前に風呂に入らないと、揃ってご飯が食べられない。

晩ご飯の支度の途中で風呂に入る破目になってしまった。

しかも娘ぶー子が入っている。

時間がないのだ。強引に入り込む。

湯船に浸かっている間に、シャンプーの詰め替えをした。

「詰め替え」と言うか継ぎ足しだ。

面倒でずっとほったらかしにして、ぶー子のシャンプーを使っていた。

何もこんなに急いでいる時にやらなくてもいいのだろうが、毎日急いでいるのだ。

忙しいのだ。そうなると一番時間を短縮できる行為は入浴だ。

そういう訳で、いつも風呂は忙しいのだ。

湯船の蓋を半分ほど閉めて、その上にシャンプーのボトルを置き、詰め替え用の袋から中身を絞り出す。

ダラダラぶー子と話をしながら入れていたら、突然ブォッと容器から中身があふれ出した。

突然の事で驚いて、しばらくそれでも絞り出してしまった。

ドロドロと流れ出てくる。

「あーあーあーあー!!」

大騒ぎだ。

しかしおかしいぞ。

ボトルはほとんど空だったのだ。

空のボトルに入らない量の詰め替えがある訳ない。

いつもと同じシャンプーで、いつもと同じボトルだ。

うすらボケッ。

私が入れていたのはボディシャンプーのボトルであった。

まだ中身がたくさん入っていたのだ。

・・・混じってしまった。

「こりゃダメかね?」ぶー子に問う。

「いや。」ぶー子も私の血をしっかり受け継いでいる。ケチなのだ。

「シャンプーに混じったんだったら、ギシギシして頭なんか洗えないけど、体洗うんだったらいいんじゃねぇ?」(発音注:「いい」のアクセントが上がらぬように。)

かくしてこのままボディシャンプーとして使っていく事になった。

ダンナには言っていない。気付かなきゃその程度なのだ。

風呂からあがると晩ご飯作りの続きに取りかかる。

また千切りだ。

千切りのできるスライサーもあるのだが、出すのがめんどくさい。

今となってはどこにあるのかもわからなくなってしまった。

千切りした大根をマヨネーズで和える、と。

冷蔵庫からマヨを出して、私は固まってしまった。

ほんのちょっぴりしか入ってないのだ。全然足りない。

またやってしまった・・・。

買い物リストに書き出す時に、食材はちゃんと確かめてから書くのに、いつも調味料を確かめない。滅多に切らさないからだ。

どうする・・・?

これから買いに行くと言っても風呂上りでもうパジャマ、頭は濡れたままでスッピンだ。

イヤだ、買いに出るくらいなら作る。

PCで調べる。

油と卵黄と酢を混ぜるだけだ。

そう言うと簡単そうだが、そうはいかない。

実はこういった事態は2回目で、前回チャチャッと作ったマヨは大失敗だった。

油っこいマヨネーズエキスのようのものができてしまった。

今回調べたところによると、とにかく根気強く少量ずつ混ぜなくてはいけないらしい。

まだ晩ご飯のしたくは他にもある。

マヨ作りは大変だが、シンプルな作業だ。ダンナに任せた。

しかし最終的にはこのマヨ作りが一番時間がかかり、後半は2人がかりで頑張ったが

30分かかった。

着替えて髪を乾かして眉毛ぐらい書いて買いに行ったほうが全然早かった。

しかし感無量だ。今回は成功した。

私達が生み出したマヨネーズ。

店で売ってるアレを作っちゃったのだ。

それにしてもマヨネーズとは恐ろしい調味料だ。

高カロリーとの認識はあったが、こうして自分の手で作ってみたら本気で怖くなった。

卵黄:1個

酢:15cc

サラダ油:150cc

マヨネーズとは、大量の油に卵黄と酢をちょこっと練り込んだ製品である。

晩ご飯作りに忙しくしていると、ぶー子がのんきに「か~ぶ~と~が~にぃ~~♪」と歌うように言いながら現れた。

かぶとがに?

振り向くと鼻を、物干し竿をはさむサイズのでかい洗濯ばさみで挟み

スプーンで頬をペチペチ叩いていた。

「な、何やって・・・。」

小顔ダイエット?

鼻も関係あるのかと聞くと、それはぶー子のオリジナルで、

「鼻が高くなりそうじゃん。」と鼻声で答えた。

肌が引き締まる、とか何とか言って、気温の低いベランダでずっとこれをやっていたそうだ。

あぁ、さっきの高カロマヨを食わせるのか。

悪いがアンタの努力は、このマヨでは何日かは無駄になるね。

ご飯を食べ始めたのは10時過ぎだ。

現在はもう、寝ようと思っていた時間になってしまった。

後片付けと米とぎ、そして「今日のエル報告」がまだ残っている。

「今日のエル報告」を残してしまった。

これを始めたらまた寝るのが遅くなる気がする。