神の声を聞いた。
月曜日、人間的生活を再び始めなくてはならない事を呪いつつ、布団のぬくもりと戦う
朝である。
ところで「神」というのはこの場で便宜的にそう呼んだだけであり、私はその正しい存在を知らない。
まぁ私を正しい道に導く、ゼペットじいさんみたいなものである。
或いは、幸せの鐘を鳴らす女神か妖精か。
しかし、結果を見るまではうさん臭い占い師である。
さっきまで寝ていた人間には、特に。
「エルがお待ちかねだよ。」
朝ご飯を食べながら、ダンナは私にそう言った。
そういえばエルの姿が見えない。
「寝室で待ってるよ・・・。」
その時2階の寝室から、エルのガオ~ガオ~という鳴き声が聞こえていた。
呼んでるっ、呼んでますぜ、一緒に寝ようって!!
促したのはダンナ、呼んだのはエル、誰も反対しないので、私は喜んでベッドに戻ったのだった。
そして、私は布団の中で聞いたのである、神の声を。
「・・・た方がいいと思うぜよ・・・」
言葉はハッキリしなかったが、伝えたいことは分かる。
不思議なことにその時は、あまり眠くなかったのだ。
あぁ、それなら起きちゃおうかな?
そんな風に考えていた時であった。
これは神の計らいである。
このように、一見損をしたような無駄なような気持ちになる事も、実は最終的に自分のためになっている事が多いのである。
寝たいのは山々だったが、これはきっと、起きたほうがいいパターンである。
眠くはなかった。
だが、私はさっきの夢の再放送をしたかったのである。
なんと!!坂本龍一にバッタリ会って、一緒に飲むことになったのだ!!
西中の裏門を左に出たところの横断歩道で、実家に戻るところの彼を見つけたのである。
声を掛けたのだが、気が合って一緒に飲むことになったのだった。
わかった、起きますよ、でももう1回坂本さんに会ってからね。
こんな面白い夢はなかなか見れるものではない。
しかし夢に出ただけで坂本龍一のポイントが上がるから不思議である。
別段、彼の事が好きな訳ではない。
ところで私は最近、「眠り脳」と「起き脳」の違いが分かってきたのだ。
寝ようと思ったときに「予定を考える」「やりたい事を考える」などの「考える」思考は脳を起こす。
逆にこの「夢の再放送」は、眠り脳に近づけるのだ。
人は眠る時には、起きている時ほど脳の力を必要としない。
そこでエコ設定となり、極力無駄な脳力を使わないようになるのである。
その頂点が、夢を見ている状態だ。
再放送だって、エコスイッチを入れるには充分である。
長くなったが、つまり私は寝た。神、シカト。
脳のエコ設定については私のオリジナルなので、得意げに人に言わないように。
しかし神は、やはり神である。
このまま終わらないから「胡散臭い占い師」ではないのである。
ピンポーン♪
・・・という、どでかいインターホンの音で飛び起きた。
瞬時に私はその存在を思い出し、ベットから走り出す。
ダスキンの回収である。昨日、電話をもらっていた。
いつもならしらばっくれるシチュエーションだが、どうやら娘ぶー子が学校に行く頃とカブッている。
「お母さんはまだ寝ています」なんて言われたら、最悪だ。
毎月忘れないように必ず電話をくれる、担当のダスキンレディ。
にも関わらず、先月は忘れていた。
はいー、と返事だけして、モンダミンで口をゆすぎ、手で顔をゴシゴシこする。
「明けましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします。」と深々と頭を下げる彼女に、泡食って「すみません今、忘れてました今」と繰り返していたぽ子であった。
こんなんだが、今年こそは、との意気込みはまだある。
いつもの月曜よりは早起きじゃないか。
この後もう1回だけ、夢の再放送をしたが(笑)