づ・・・が・・・れ・・・だ・・・。
今日も歩きに出たが、もう全然疲れが抜けていない上に、足が痛い。
それでもラーメン食べたさに電車に乗り込んだが、どこまで歩けるのか??
「・・・もう・・・、ウォーキングに『疲労』以外に得るものはあるのか?」
ダンナは靴が足の小指を圧迫するらしく、痛くて歩きにくいと言った。
私も足の爪の角が隣の指に食い込んで痛んでいた。
普段はグータラしているくせに、突然3万歩も歩くようになったのだ。
挙句に足を痛めて二人で座り込み、ティッシュを患部に挟んでいるこのていたらく。
昼に食べたラーメンは大盛りでお腹も苦しく、疲労で足ももうガクガクだ。
最終目的地は迎賓館であったが、四ッ谷駅でリタイヤ。
遠くに迎賓館の屋根が見えた。
「ああ・・・、迎賓館が・・・そこに見えるのに・・・。」
迎賓館はぽ子の憧れである。
何度か車で横を通ったが、そこだけまるでヨーロッパの城のような別世界なのだ。
近くに行って、せめて写真でも撮りたかった。
「私なんかは一生迎賓館に入る事はないのかな・・・。」
「アッハハ、無理無理っ!!」
「でももしかして今あそこまで行ったら、たまたまどこかの国の親善大使か何かが門の辺りまで出てきて案内されてて、そこでぽ子達が門の向こう側にいて、『あの者たちはなにかね』とか何とかコーヒー片手に聞いて、それを案内してる日本の偉い人が『あれは平民でござります。あなた様などにはとうてい・・・。』『ほほう、日本の平民とやら、どうぞ入るが良い。君たちの暮らしぶりを聞かせてくれたまえ。』・・・とかならないかねぇ。」
「・・・・・どこをどうやったらそんな発想が(汗)」
諦めて駅に向かい始めたが、迎賓館に入る夢は諦めてはいない。
「もしここで私が倒れれば、『とりあえず迎賓館へ!!』って、・・・。」
「ならない!!」
「じゃあもう迎賓館に運び込まなくちゃならない程の人が一度にここで倒れたら?」
「え~!?う~~~ん、もし入れたとしても、中までは無理だろー。」
「そしたら『紫外線に当たるといけない病気で』って・・・。」
「じゃなんでそこにいたんだよって!!」
「もう余命はあとわずか・・・。」
「余命・・・。むー、情に訴えるのは効果的かもしれないな。」
もちろん冗談で話していたのだが、ここでダンナがなびいたのが不思議であった。
「忍び込んだ方が確率が高そうだな。」
「ぽ子が忍び込めるほど甘くはないよ。」
「あそこに忍び込んで捕まったとしたら、どれぐらいの刑罰を受けるかなぁ?」
「う~~~ん、不法侵入??どうなのかなぁ。」
「私の人生に影響のあるほど酷くはないよね。」
「そうだろうけど・・・。」
「いや、いっそ!!」
ひらめいたぞ!!
「女の武器で警備員を・・・・・。」
この後の計画とダンナのリアクションは想像にお任せする。
クッタクタになって何とか家に帰りついたが、痛む足を引きずって、性懲りもなく花を買いに行った。
家に帰って風呂から出たら、座った途端に寝てしまった。
さっき我に返って飲み出したところである。
調べてみたら、迎賓館は今年から見学できるようになったらしい。
年にたったの一度だが、これで私は犯罪を犯さずに済みそうである。