「ぶー子にいい話だよ。」
「??」
学校も休みに入り、毎日昼に起こしてやっと起きて来る娘ぶー子だ。
一応、休みだからってグータラするな、朝はちゃんと起きて来いと言ってあったが、それを言ったテメーの方が起きれないのだ。
今日までグータラを黙認してしまった。
しかし、このまま4月までたっぷり寝かせるつもりはない。
起きろぶー子よ、眠れ良い子よ。
アクセントは似ているが、お前は今日ついに起こされるのだ、朝に。
とは言っても自分も眠かったので、起こしに行ったのは10時半である。
ムグムグ何か言っていたが、言い返せる訳などない。
ちゃんとそういう話だったのだ。
だからのムグムグである。
そこへ「いい話だ」。
起きればいいって事ではない。
放っておけばゲーム三昧パソコン漬けである。
私はお前を重要な役目に任命する。
「あなたを便所隊長に任命しました。」
「はぁ!?」
我が家のトイレは2階の方が圧倒的に汚い。
なぜかと言うと、掃除をすべき私があまり入らないからで、つまりあまり構ってやってないのだ。
たまに入るたびに「きったね~な」と思うのだが、部屋はトイレだけではないのだ。
きったね~ところは他にも常にたくさんあり、そこまで手が回らないのが実情だ。
しかし時々遊びに来るぶー子の友達は、この恥トイレに入る。
「今日、友達が来た。」と言われると私はまず、「ヤバい、トイレ(汗)」と思う。
普段からきれいにしていればこんな気持ちにならずに済むのだが、私にはやらなくてはならない事がたくさんありすぎるのだ。
まぁ普段やらないからたくさんありすぎる事態になっているのだが、ちょっと待て。
ぶー子、学校休みじゃないか。
圧倒的に不公平で理不尽である。
片や昼まで寝て遊び呆けてトイレを汚し、片やない時間をやりくりしてトイレを掃除する。
なぜ時間がないのかは置いておいて、そこで私は凄いことを思いついたという事だ。
子供と言うものは、頼りにされて任されると、案外喜んで働くものである。
なので私はわざわざ「便所隊長」などという誇らしげな名前をつけてそれに任命したのだが、案外ぶー子は喜ばなかった。
しかし「嫌だ」などと言えるはずはない。明らかに理不尽なのだ。
そこで調子に乗って「便所」に猫の分も含ませようとしたが、これはエルが待ち切れそうになかったので先に私がやった。
エル糞後なら遠慮なく押し付けたのだが。
洗濯物を干しに2階に上がると、トイレのドアが開いていた。
覗き込んでみるとぶー子は便座の上に逆向きになってまたがり、手を洗う所をガシガシこすっていた。
ローライズのジーンズから尻が半分はみ出すほど、奮闘している。
「便所隊長」の肩書きも、満更ではなかったのかもしれない。
お陰でトイレはきれいになったが、私が枯らしてしまったミニ観葉の後始末が残っている。
これでも今回は頑張って育てたつもりだが、なぜ私の手にかかるとみんな逝ってしまうのだろう。
いい加減止めれば?と何度も言われてきたが、私は殺人鬼のように枯らして楽しんでいる訳ではない。
これでも成長を夢見ているのだ。
なので、枯れたといっても諦めきれずに捨てられないのだ。
まだ茎が、まだ茎が残ってます(泣)そこからまた何かが生えて来るかもしれないじゃないか。
と言った訳で、始末時がわからない。
しかし、枯れたミニ観葉に囲まれたトイレに入るたびに胸が痛み、ますます遠ざかるのである。
こうしてトイレの汚れが今日まで蓄積されてきたのだ。
後は隊長が何とかしてくれるだろう。
ミニ観葉も何とかしてくれればめっけものだが。