いよいよ夜だけでなく、午前の二度寝も寝付けなくなってきた。
仕方がないので働いた。
今日は、自信を持って、働いた。
眠れなのだ。他にやる事がない。
布団を干したり壁を磨いたりしたが、クライマックスは庭である。
先日くそカタバミをブチブチと千切っておいたが、それによって今度は延びた芝生が残り、何だか空襲後のようになっていた。
クロックタワーのアイツが持ってるようなシャキーン☆と大きなハサミとゴミ袋を持って、庭に出る。
刈っても刈ってもだ。
刈っても刈っても揃うことはない。
エンドレスな殺戮である。
私は諦めて、ターゲットを変えた。
隣との境い目に植えてある、目隠し用の大きな木である。
「これはちゃんと切らないと、隣に怒られるわよ。」と何度も九州の義母に脅されている、身長よりずっとずっと高い木だ。
名前はわからないが、良く見る木である。
もみの木みたいなヤツ。
で、刈り込んだ訳ではない。
切り落とす準備をしたのだ。
目隠しなんか、どうでもいい。
もう芝刈りのようにちょこちょこ手入れをしなくちゃならないものなどゴメンなのだ。
しかし手入れをしないと隣にかかる。義母もうるさい。
だから腰ぐらいの高さまで切ることにしたのだ。
ダンナと娘ぶー子は「引っこ抜いてしまえ」と言ったが、さすがに生きている罪のない木をぶっ殺すのは気が引けた。
まぁ切り落とすのも気の毒だが、小さくなった暁には、ぽ子がまあるく可愛らしく刈っちゃるから、安心するが良い。
しかし、のこぎりの場所がわからないので、切り落としポイントのあたりの枝をだけ切っておいた。
ちょうど木の真ん中あたりで、腰のくびれたいい女になった。
今まさに、ギロチンの前で髪を切り落とされたマリー・アントワネット状態である。
このまま一晩さらしものになるが、ぽ子のことだ、実行までにもっと時間がかかる可能性は高い。
美的感覚を疑われそうなので、あまりこのままにしておきたくはないのだが。
会社に行ったら、壁に就業規則が新しく貼り出されていた。
昨日パートリーダーがお局に呼び出されていたから嫌な予感はしていたが、的中である。
服装から着替えるタイミング、仕事中の姿勢までこまごまと書かれていた。
この小ウルサイ規則の前では、ぽ子など不良になってしまう。
もちろん髪は帽子に入れろと書いてあった。
パートリーダーは、「こんな当たり前の事もわからない一部の人たちのために、こんな事をしなくちゃならなくなった。幼稚園児じゃあるまいし。」と言われたそうだ。
私は「こんな当たり前の事もわからない一部の人」であるが、今後違反者が出たらパートリーダーが叱られるそうだ。
なので明日からぽ子は髪をピンで留めて帽子に入れ、我が家で一番ダサイ靴を上履きにし、始業5分前位には席に着いているだろう。
前髪が長いと言われたら、これもピンで留めるか結わくかしてデコを披露する。
娘ぶー子の学校の規則の方が、よっぽど寛大である。
ひきこもりを誘発しかねないぞ。
気分が滅入るが明日は金曜だ。
後1日、頑張ろう。
そのためにはゆっくり寝たいのだが。