カラオケに行ってきた。
新しいコンポを買ってから、ダンナは通勤で良く音楽を聴くようになったみたいで、カラオケも以前より早いサイクルで誘ってくれるようになった。
「ギターから帰ったらすぐに出れるように準備しておいて。」
土曜日はダンナのギターレッスン日なので、それが終わってからになる。
私は着替え、化粧をし、カラオケ用バッグの準備をし、万全の体制で彼の帰宅を待った。
「岩ガキだ・・・。」
しかし彼は帰ってくる前に、こんなメールをよこした。
岩ガキ!!
ぽ子の大好物である。
夏の間にしか食べられないものだが、まだあったのか。
「6個、買ってきて~~~!!」
もう諦めていただけに、喜びもひとしおである。
「でかいよ。」
本当にでかい。
これをひとくちで頬張るのだ。
とろけるようなクリーミーな味。
何もつけずにそのまま食べるのがいい。
海水の塩分が絶妙な調味料である。
「で、昼飯、どうしようか。」
私はこの大きな岩ガキを3個食べた。
その前に、娘ぶー子が食べなかったちらし寿司を半分。
ぶっちゃけ空腹ではなかったが、食欲というものは腹の減り具合とは関係なく湧き上がってくるものだ。
カレー屋のランチを食べた。
ランチと言っても、スープ、サラダ、ドリンクまでついて、軽いフルコースである。
腹は一杯だ。
膨れた腹をさすりながらカラオケ屋に向かう。
苦しい。ビール、入るか?
コンディションは最悪である。
昨日ちょっとばかり飲み過ぎて二日酔い気味。頭痛もする。
「ウィークエンドパックで。飲み放題をつけて。」
4時間のお得なパックである。
「ただいまキャンペーン中で、飲み放題を頼まれた方にはこちらをお付けしているのですが。」
・・・一品料理である。
一瞬ウッとなったがそこは大食漢の定め、次の瞬間には「エビのタルタル包みスパイシースティック」を頼んでいた。
あとはいつもの通りである。
悪酔いしないようにビールとウーロンハイで粘っていたが、逆に全然酔いが回らないのでワインに切り替えた。これが後にダンナに地獄を見せる結果になる。
カラオケボックスにいる間は、まだ良かった。
ダンナは「ディア・ウーマン」の「ウェルカム」の部分を「えるちゃん」と歌い、私は「部屋とYシャツと私」で泣いた。
ところでこの「部屋とYシャツ」だが、この曲は私達の結婚のパーティで私が歌った曲である。
あわよくば懐かしさのあまりにダンナを泣かしてしまえたらと思ったのだが、この曲が見つからない。
「ひらまつあ」で検索するのだが、出ないのである。
「ひらまつ」でやっと出たが、なんと「あいり」ではなく「えり」であった。
今パソコンで調べて知った。
そして、歌っている間はこの曲のPVらしきものが流れたのだが、これが酔っ払いを泣かせたのである。
結婚して生まれたひとり娘がどんどん成長していくさまが流れていく。
途中で猫が1匹増える。
そのうち娘はあまり親と過ごさないようになる。
大人に近づくにつれ、彼女の世界が作られていくのだ。
私はもうこのPVの方が気になって、歌は適当である。
これはヤバい、最後は結婚か?親が死ぬか??
子供が離れていくあたりからもう、ジンワリ涙がにじんでいる。
次のシーンは猫だけだ。
家族はバラバラになってしまったのか?
猫が1匹で暗い部屋でご飯を食べているのである。
何?何が起こったのだ??
緊張で心臓が引き締まる。
次のシーンでは娘が彼氏を連れてきて、家族全員で記念写真を撮っていた。
ただし猫は遺影であった。
ウウッ、猫、死んじゃったんだ。
でも娘の気持ちは彼氏と一緒になって戻って来た。
ううううう・・・、なんて泣ける物語なのだ。
こんなの、酔っ払いに見せないで欲しい。
しかし、カラオケで泣くようになっていては、危険信号である。
家に帰ってから私はダンナを相手に何でか知らないがワンワン泣き、ひどく迷惑をかけたようだ。
気がついたら夜中で、気持ち悪いのでトイレで吐いた。
もうカラオケでワインはダメだ。
大して飲んだつもりはなかったが、カラオケとはいつもとは違う状態なのだ。
飛行機の中で飲むと酒のめぐりが早いと聞くが、そんなようなものだろう。
かくして今日も二日酔いである。
食って寝て終わってしまうのであった。