人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

ぽ子モり

「適当にモッて。」

同窓会だったのだ。

ぽ子38歳は、ぐうたら主婦なのだ。

普通に行ったらきっと誰も「ぽ子」である事に気付いてくれないか、

「ああなりたくはない。」と思われるだろう。

ところで「モる」とは。

これは高校生の娘が使っている言葉だ。

つまり「カッコつける」が、一番近い言葉だろうか?

キメて撮った写メを「モり写メ」、カッコつけた写メなどあると「モッてんじゃん~。」となる。

そこで。

私は同窓会の前に娘に「モッてくれ。」と頼んだのだ。

先程言ったように、普段のままいくとぽ子の株が下がる。

ここ1発なのだから、1パターンでいいのだ。

服と靴、髪だ。

ぶー子は喜んでまずヘアアイロンの電源を入れた。

3つあるうちのスペシャルというシロモノのだ。

まだ頭が濡れてるんだけど、と言うと

いいからこっちゃ来いや、と言うので任せる。

まだスペシャルは出さずにまずドライヤーで髪を乾かす。

それなら私でもできるので・・・。「いーから!!」

良くないです、髪が必要以上に抜けないようにしたいのですが・・・。

「はぁ?大丈夫、大丈夫!!」

大丈夫じゃねぇよ~。「プチ」という感触がある度に私は冷や汗がでる。

軽く乾かすとアイロンをあてて髪をストレートに伸ばす。下の方だけだ。

・・・耳とか挟まないでよね・・・。

ガシガシ簡単にやってるが、大丈夫か?

「大丈夫、大丈夫、私もチコに挟まれたことあるしさ♪」

・・・それは大丈夫とは言えない。

トップをワックスで膨らませる。

「これ、どれだけもつの?」

「濡れなきゃ大丈夫だよ。」

これまでもそうだったが、ぶー子のやることは訪問販売と同じで

大げさに良さげなことを言い、効果がないか続かないのだ。

「・・・これ、ヘタッたらどうするのよ。」

「だー、あとでモり方、教えるから!!」

彼女は苛立ちながらそう言った。

ところで結果論だが、私はベロ酔いしたので聞いた意味はなかった。

着る物についても、ぶー子に頼るしかなかった。

このところ私は、数年前に安売りで買った服か家族の残り物で過ごしていた。

冬ともなるとコーディネートが面倒で、ジーパンとトレーナーを繰り返し着ていた。

さすがにそのまま同窓会とは、ぽ子の最後の見栄が許さない。

ぽ子などに誰も期待などしてなかろうが、今このぽ子の生活でだれもぽ子に期待などしていないのだ。

あっ!!とは言わせられなくても「・・・やっぱりぽ子だった。」と誰にも相手にされないのはゴメンだ。

だからと言って高校生の娘に助けてもらうのも情けないのだが、どこかにそれが書いてある訳じゃないからヨシとしよう。

風呂に入っている間に適当に決めてそこに置いておいて、と言っておいたのだが

置いてあったものはムチャクチャだ。

2パターン用意した、と言ったが、どちらもぶー子が着た事のないパターンじゃないか。お前、着れるのか?

「いーから着てみ。」と彼女は笑っていたが、私にはわかる。着てみた結果が。

しかし彼女がわからないので、彼女のために着てやった。絶句していた。

ぶー子はこのように喜んで人をイジるが、どうもそれで実験しているフシがある。

3パターン目は、すごくかわいいキャミソールであった。

キャミソールという言葉に馴染みのない方のために説明すると、

それは下着のような、肩の部分はヒモだけの非常に、その、アレである。

で、「この上にセーター着て。」と言う。

え??このかわいいキャミソールの上にセーター着ちゃうの?

そしたらこのフリルもリボンも見えなくなっちゃうじゃん!!

ぽ子はゴネた。フリルとリボンは出したい!!

するとぶー子はまた違うキャミソールを持って来て「これに着替えて。」と言う。

フリルもリボンもない、普通のキャミソールだ。

「こんなのイヤだよ。」と言うと、「アンタがゴネるから、その夢を捨てるためにコレを持ってきた!!これ着て!!その上にセーター!!」

ぶー子はどうしてもセーターを着せたいらしい。

私はフリルとリボンだ。

親という立場にモノ言わせて、勝った。

その結果、帰るまでニットのボアつきのコートを脱ぐことができない状態になった。

確かに、キャミソールのフリルを見せるためには、上に他に着ることができないということなのだった。

中途半端で申し訳ないのですが、もうヘロヘロに酔った上、

今日中の更新をとなると間に合わないので続きは明日・・・デス。