人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

よゆー、絶対、大丈夫

「これに合う服を貸して欲しいんだけど。」

今夜は、あらかじめ予約してあったレストランで、ダンナと食事をする事になっていた。

こんな日でもないと、Tシャツ以外の服を着る機会がない。

私は買ったばかりの新しい服を着て行く事にしたのだが、それに合う、いわゆる「ボトムズ」がなかったのである。

珍しく娘ぶー子がいたので、適当に借りることにした。

「それならあのクラッシュジーンズがいいよ。」

「あのクラッシュジーンズ」ですぐ分かったのは、最近ぶー子が気に入ってよく穿いていたからである。

ちなみにクラッシュジーンズとは、わざとビリビリに破いたりしてある可哀相なジーパンの事である。

「そりゃいいけど、ウェストは大丈夫かね??」

私とぶー子は体系が似ているのであまり心配はしていなかったが、スキニーである、結構シビアな問題だ。

「よゆー、よゆー。絶対ダイジョブ。」

ま、そうだよな、ぶー子の服が入らない訳がない。

入らねえ(笑)

そもそもピチピチで腰まで上げるのに難儀したが、洗いたての干したての乾きたてで、一番キツい年頃である。こんなこともあろう。

しかしいざファスナーを閉める段階になって、原因はそこではないことが明らかになった。

「ちょー、これEE:AEB64

ファスナーの上のボタンとボタンホールは、まるで磁石のN極同士が反発しあうように顔を背けていた。

ファスナーを上げるまでもなく、無理は明らかである。

しかしぶー子は「ほらほらほらほらっ。」と強引にボタンを閉めようとした。

無理だっつの、それを無理に引っ張ってくるのがおかしくて、腹が揺れる。

「オラッ!!」

しかしぶー子は見事に腹をジーンズに入れた。

入ったか。

入っただけである。

ジーンズの上部からは、色んなものがはみ出している。

このジーンズは「クラッシュ」「スキニー」「超ローライズ」というオバハン泣かせのものであった。

股上の浅さから、下に穿いているパンツが大きくはみ出していた。しかも斜めに。

その上からは腹がはみ出していた。

その無様さがおかしくて「これ見てこれ!!」とウケを狙ったが、ぶー子は笑わなかった。

「いいからいいから、その上にこれ着ちゃえばわからないから。」と平然と言ったが、もう一度「これ見て」と腹を見せたら、一瞬戸惑ってから、ブフッと吹き出した。

我慢してたんだねEE:AEB64

ぶー子の言うように、上にはポンチョのような服を着るので腹は隠れる。

しかしそのポンチョはシースルーなので、何かを下に着なくてはならない。

それもぶー子から黒いキャミソールを借りたが、これがまた、寸足らずである。

よって、私の腹はローライズのジーンズと寸足らずのキャミソールの間からはみ出すのである。

「大丈夫、全然分からない。」

しかしぶー子はそう太鼓判を押したので、時間がない事もあり、私はその格好で出かけたのだった。

して、食べたのはバイキングである。

私の腹がへこむ予定は、今のところ、ない。