人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

歯医者に行った・1

大嫌いだ、歯医者。

子供の頃、もの凄く痛い思いをした。

今思うとアイツは子供嫌いのヤブ医者だったのではないかという気がする。

なぜなら「いくらなんでもそんなに痛いはずはない。」と皆言うからだ。

麻酔をしてもらったことは一度もなかったが、それが原因だったのではないか。

さて、話は5年前にさかのぼる。

前歯が2本、欠けてしまった。

「欠けてしまった」と言うと何だか外からの力で自然に欠けたみたいだが、

私が欠けさせてしまったのだ。

ネジを歯で開けようとしたがネジの方が強く、ギザギザのネジの周りで前歯にヤスリをかけられたような状態になってしまったのだ。

2本の前歯の下部真ん中が欠けた。

これは大変なことになった。

それほど痛くはないが、目立つのだ。アジアの奥地に住むばあさんの歯みたいだ。

私はすぐに歯科技工士の知り合いに電話をした。

彼のお陰で遠いがいい医者を紹介してもらうことができたが、彼のせいで「ぽ子が、ビール瓶の栓を歯で開けた」と間違った情報が流れてしまった。

そして、あの時はすぐにその医者のところに行った。

すでに技工士の彼から話は聞いていたらしく、「痛いのだめなんだってね。」と麻酔をガンガン打つことを約束してくれた。

それまで私は歯に麻酔を打った事がなかったが、これまで歯医者での痛みは「削ること」がMAXだったので、麻酔など怖くはない。

この時は、欠けた部分をナントカいう素材で埋めた。

いずれ取れる日がくるだろう、と不吉な予言をしたが、この日は1日で全て終わり、5年後までこの病院を訪れることはなかった。

3年ほど経ったある日、取れた。

1個取れたら隣の歯の方もすぐ取れてしまった。

また私はアジアのババァになってしまったが、その週にはパーティーがあった。

こんな歯で行けるものか。

しかし、かの歯医者は車で1時間の西荻である。予約も間に合いそうもない。

しかたなく近所の歯医者に行った。最悪パーティーまでもってくれればいい。

その歯医者はとても人気のある歯医者で混んでいた。

先生はとても優しい先生で、私は「痛いのは絶対にいやだ。」と話し、前歯を何とかして欲しいとお願いした。

先生は歯を見て「うーん・・・。」と難しい顔をした。

「これはね、難しいよ。場所が場所だから、すぐに取れちゃうんじゃないかなぁ・・・。」と言う。

もういい、とにかくパーティーまでだ。口には出さなかったがアンタは補欠なのだ。

「形を整えてから埋めます。」そう言ってウィーンと削りだした。

痛かった(泣)

本当に痛かった。

だからイヤなんだ。

先生は「え??痛い??」とケロッとして言ったが、削ってからそりゃないでしょうよ。「痛かった」。もう過去形になってしまった。そうならぬようにお願いしたのに。

そしてこの歯は1週間ほどで2本とも取れてしまった。

パーティーはクリアしたからもうグズグズ言わないが、これによってもう歯医者は西荻だけという気持ちになってしまった。

しかし遠い・・・。

平日は仕事があるし、週末は二日酔いだ。

結局、ここまで来てしまった。いやぁ、歯っかけなんて慣れるもんだ。

ところがこの間「赤坂ラーメン」を堪能していたら、前歯にしみた。

何かが変わってきているはずだ。

そういえば欠けも心なしか大きくなっているような。

職場で「元ヤンだろう」と言われたが、もしかしたらこの歯も関係しているのかもしれない。

私はとうとう西荻の歯医者に行く決心をした。

~続く~