今週のお題「試験の思い出」
高校を中退しているので、人よりも試験というものの回数やその緊張感は少ない方だろう。
中学生活をかなり無駄に過ごして高校受験では苦労したが、どうせ辞めてしまう高校だ。何の思い出も思い入れもない。
そんな私が語れる「試験の思い出」も当然少なく、何のドラマもない。
しかし、全くのゼロでもない。
例えば英検。
18歳ぐらいだったか、気まぐれで受けに行った。
私は勉強はできないし嫌いだったが、なぜか英語だけは好きだったのだ。
ちゃんと勉強した訳じゃないので、高校生程度。なので確か3級だ。
当時はまだパソコンもスマホもない時代で、申し込みは全て書類。通知も書類。そこに日程や会場などの詳細が書かれていた。
1次試験をクリアすると、2次試験へ。その通知も、ハガキで来ていた。
私はそのハガキを持って、会場に向かった。
嫌な予感はしていた。どうもさっきからおかしいのだ。人が、少ない。
だいたい会場の近くは、受験者が集まって来るものだ。ところが全くその気配がない。
ハガキを見直す。一週間間違えていた。
早い方に間違えていたので救われたが、まぁこんなことは未だにしょっちゅう起こる。変わっていない。
翌週無事に2次試験を受けることができた。
2次は、面接でのスピーキングであった。
紙に書かれた文章を読み、それについて英語で質問があり、それに英語で答える形式だ。
読み上げる文章に、初めて見る単語があったのだ。
「(・・・Omelette??)」
前後関係でそれがオムレツであろうことは想像できたのだが、読み方が分からない。
しかし読まん訳にもいかないので「オ~ムレットゥ♪」とそれっぽく読んだ自分がおかしくてたまらず、「何がオ~ムレットゥ♪だ、何がオ~ムレットゥ♪なんだよ」と頭の中で駆け巡り、家に帰るまで笑いをこらえていた記憶がある。
あんな気取ったオムレツは、あれが最初で最後だ。
もうこれから、試験など受けることはないだろう。
「もうないだろう」ということが、増えていく。
もっと頑張って生きれば良かったと思うが、それを今からやろうという気にもならない。
結局そういう人間なのだ。
試験はもうない。