人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

バッタを倒しにアフリカへ / 前野ウルド浩太郎

この本を手に取って、私は戸惑っていた。「なんでバッタの本など?」。

表紙はバッタのコスプレをしている著者。ふざけているのか。

ふざけてなんか、いない。大真面目だ。著者・前野氏は、いっそ食べられてしまいたい程に、バッタを愛していた。

そのバッタへの情熱が綴られている1冊だ。

昆虫学者になる夢を持ち、大学を出て、大学院で学位を取得。

しかし安定した給料をもらいながら研究をする道は、狭き門である。

将来を棒に振るリスクを覚悟で、サバクトビバッタの研究のためにアフリカへ飛んだ。

2年という期限内に、結果を出さなくてはならない。

アフリカでは度々サバクトビバッタが大量発生し、大きな被害が出ていた。

この発生を食い止めることができれば、アフリカは救われる。

純粋にバッタの研究をしたい気持ちに使命感が加わり、意気込んでアフリカへ乗り込むも、なかなかバッタは現れない。

結果が出せなければ、将来はない。

しかしそこは、さすが研究者。あの手この手で未来を切り開いていく。

その原動力は、ひたすらに「情熱」だ。

フタを開けてみれば、誰もが持っている純粋な気持ちである。

昆虫学者などというと遠い存在のようだが、そういった距離感を全く感じさせることがない。

若い著者の軽妙な文章が面白く、芸人の自伝でも読んでいるような感覚であった。

モーリタニアの生活。

昆虫の話。

バッタとの戦い。

著者の将来。

そして、著者の人柄。

どれもとても面白かった。

気負わず読める本だ。

コミック感覚で、手にして欲しい。

ぽ子のオススメ度 ★★★★★

「バッタを倒しにアフリカへ」 前野ウルド浩太郎

光文社新書