約4年。
これが長いのか短いのか、私には分からない。
ルンバが壊れた。
ボタンひとつで勝手に掃除をしてくれるのである。こんなに素晴らしいものはない。
猫の多頭飼いをしている我が家は、すぐに猫の毛がたまる。
そして私は、こまめに掃除をする人間ではない。
ところがこのルンバが、私に変わって掃除をしてくれるというのだ。こんなに有り難い話はない。
だったら一日に何度でも、ルンバを回してやる。そうすれば家の中は、少なくとも床だけは綺麗な状態を保てるのである。
私はルンバの良さを語り、これがあればどれほど家のためになるのかを語り、これがあればどれだけ自分が楽になるのかを語った。
こうしてルンバが家にやって来たのは、4年前のことだった。
ところが実際に使ってみて、「意外とそうでもない」ことが分かったのだ。
物をどかさなくてはならないことは覚悟していたが、細いところには入れない。
カーペットがあまり綺麗にならない。
カーペットとの段差に、吸い込めなかったゴミをくっつけてしまう。
そもそもそんなに綺麗にならないという決定打。
重い掃除機を持って来てガーガーやる手間は確かに省けたが、使うたびに回転ブラシの掃除をするので(ハマるのだ。勝手にやっているだけの話だが)、結局それなりに時間は取られてしまう。
猫を乗せて走らせたいという野望も、叶わなかった。
ルンバよ、お前・・・、という気持ちになりつつ、重い掃除機を引っ張り出してくる気にもなれず、何となく時間が流れていた。
やがて、3本ある回転するブラシの1本がなくなった。
いかほど威力が落ちたのかは、分からない。
そしてもう1本なくなり、とうとうたった1本で、端の方をかき出していた。
ブラシは交換できるようだが、面倒だったのでそのままにしておいた。そもそもそんなに綺麗にならなかったのである。ダメージは感じなかった。
ついに、充電がイカれてきた。
稼働時間がどんどん短くなり、ついにはほとんど動かない状態となってしまったのだ。
調べたところ、バッテリーの交換で直りそうだったが、これを蘇生する気にはなれなかった。
かと言って、あれだけ熱弁ふるって買ってもらった品物である。やっぱりダメでした、新しい掃除機を買ってくれとは言いにくい。
なので、普段使わない補欠の掃除機を使うことにしたのだ。
コードレスではないが、一応スティック型で軽量の掃除機だ。
回転ブラシなどついていない、ただ吸い込むだけの簡素型である。
しかしこの快適さに、心から私は感動した。
自力で動かさなくてはならないが、私の思う通りに動いてくれるのである。取りこぼしなどない。
非力なのに、ルンバよりよっぽど綺麗になる。
掃除が楽しくなってきた。
もう、これがあればいいじゃないか。
・・・という訳にもいかないものだ。やはり「非力」が致命的だ。
猫砂(トイレの砂だ。大粒。猫が散らかすのである)を吸わない。いつもこれだけ残ってしまう。
そしてやはり、カーペットが苦手だ。ローラーに絡みついた綿ぼこりを、ここに貼り付けてしまう。もはや掃除でなく、汚しだ。
PS4は当分我慢である。
今、掃除機のおねだりをしているところだ。