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私は車で実家に向かっていた。
ものの10分で着いてしまうが、暇である。
私は運転しながら、得意の空想をする。
ところがその空想が臨場感にあふれ過ぎ、思わずもらい泣きしてしまった。
私の空想は本当にすごいのである。
「こうなったらいいな。」
「こうなったらどうしよう。」
なんていうシンプルなものではない。
実在の誰が、実在しないなら何歳程度のどのような生まれ育ちの誰が、具体的にどこでどのように、何というセリフで何が起こるのか、まぁちょっとしたドラマそのものを脳内で展開しているのである。
ちょっと可哀相なヤツを放送していたら、てめーがやられてしまったという訳だ。
これから実家に行くのである。私は慌てて手で涙をぬぐったが、
ヒー、痛い!!
なにこれ!?
あぁ、そういえば・・・。
ヴォホッ!!ゲホッ!!
今日もまた、咳き込みながらそれを切っていた。
真っ赤な生唐辛子。
滅多に見ないものをスーパーで売っていたので、あとさき考えずに買ってしまったのである。
20本100円。
・・・をふたつ。
買ってみて分かったが、生唐辛子をたっぷり使うメニューというものは、そうたくさんはない。
せいぜい1、2本か、多く消費するなら薬味や調味料になってしまう。
実は以前、料理テレビ番組の「男子ごはん」で唐辛子を使ったメニューをやっていて、この時に一度だけ買ったことがあった。
しかし、欲しいと思う時にいつでもあるようなものではないのだ、生唐辛子は。
どうやってどこから買ったのかは忘れてしまった。
近所のスーパーではないと思うのだが、そんな珍しいものを安く売っていたので、つい買ってしまったのである。
前回唐辛子が余ったので、すでにレシピの検索はしてあった。それにより、男子ごはんのレシピと、余りで作ったマッシュルームとチーズを煮込むレシピは決まっていた。
しかしこれで限界である。
残りは20本。
とりあえず10本はカレーに入れてみた。
どえらい辛いのができあがったが、この生唐辛子というものは、辛いだけでなく美味しい。
薬味ではなく、野菜なのである。
残りは10本。
ところで、生唐辛子は傷むのが早い。もう後がない。仕方がないので冷凍だ。
真空が理想的だというので、ジップロックに入れて隙間からストローで空気を吸ってみたが、ジップロックがバカになっており(100均だ。やられた。)、吸っても吸っても口を離せば元に戻ってしまう。
こういう事態は苦手である。もう知らん。そのまま冷凍庫に突っ込んだ。
これにより、テンションは下がった。
この唐辛子の行く末が不安である。