人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

13階段 / 高野和明

前回読んだ幽霊人命救助隊が面白かったので、違う作品も読んでみたくなったのだ。

結構長い作品だったが、面白かったので、寝込んでいる間に一気に読んでしまったEE:AE5BE

事故当時の記憶がないために、冤罪の可能性を持ったまま死刑を待っている樹原。

その冤罪を晴らそうと結束した、いわゆる死刑執行人の南郷と元殺人犯の三上。

人を殺したという罪悪感に苛まされていた南郷と三上は、樹原を救うことで自分自身も救いたかったのだ。

一見、非の打ち所のない証拠や証言。

対して突破口になるのは、樹原が漠然と思い出した「階段」というキーワード。

ついに樹原の死刑執行命令書が法務大臣のもとに届く。

三上と南郷は、それを阻止できるのか。

そして真犯人はまさかの・・・。

まず、「幽霊人命救助隊」でも感じたことだが、とても文章がわかりやすい。

読み手の気持ちになって書かれているかのような文章で、ちょっとした疑問が浮かんでもすぐに補足があったりして、ストレスがない。

そんな分かりやすさとは裏腹に、内容が濃い。これは単なる推理小説ではない。

死刑制度を通して生と死を、そして人が人を裁くということを考えさせられる。

正義とは何か。復讐は許されないことなのか。

登場人物である三上や南郷の気持ちの揺れも身近に感じ、感情移入できる。

また、推理小説としてのストーリーも素晴らしく、最後まで翻弄された(笑)

ややこしいのに分かりやすい、分かりやすいのに先は読めないという、推理小説としては極上じゃないかと思う。

ただ、私はあまり推理小説を読まないので、他との比較はできてないと思う前提で。

ぽ子のオススメ度 ★★★★★

「13階段」 高野和明

講談社文庫